2002 Fiscal Year Annual Research Report
クーロン固体の固溶特性を利用した新しい多価イオン冷却法の探求
Project/Area Number |
14658129
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
家富 洋 新潟大学, 理学部, 教授 (20168090)
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Keywords | クーロン固溶体 / 相図 / 相分離 / 弾性定数 / 星振 / イオントラップ / 多価イオン / レーザー冷却 |
Research Abstract |
2種のイオンが負電荷一様背景中で不規則に固溶した固体(クーロン固溶体)の相分離に対する安定性を詳細に調べ,「不規則型クーロン固溶体が電荷比の増大とともに安定化する」との異常な事実の発見を盤石のものとした.結果は相図の形にまとめられた.さらにこの解析をクーロン固溶体の力学的性質の解明へ進展させた.クーロン固溶体の弾性定数は高密度星の振動を予測する上で必須の情報である. クーロン固溶体は非圧縮性であり結晶の対称性として立方晶を仮定すると2個の弾性定数をもち,それらの違いが系の非等方性を計る物差しとなる.2種類の特徴的な変形を考え,弾性定数をエネルギーの歪みに対する二階微分から求めるとともに,あわせて有限の歪みに対するエネルギー変化について直接計算した.両者の結果を比較することによってクーロン固溶体の力学特性の非線形性を調べることができる.得られた結果をまとめると,1)固溶効果によって立方晶の非等方性は大きく失われる,2)方向平均するとクーロン固溶体の弾性定数は純粋結晶の混合相のものよく一致する,3)安定なクーロン固溶体は純粋結晶に比べて格段に小さい変形で弾性を失う.次年度ではこれらの結果を元に,イオントラップによって蓄積された多価イオン群を効率良くレーザー冷却する可能性を分子動力学シミュレーションによって定量的に検討する.実験室では10万個程度のイオンが閉じこめられている.そのような大規模系をシミュレーションするためにPCクラスター上での並列計算手法を利用する.
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Research Products
(1 results)