炭化珪素系複合材料を用いたブランケットシステムにおける低放射化気密シール開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14658136
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 長谷川 晃 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80241545)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 佐藤 学 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40226006)
• Keywords: 炭化珪素 / 核融合炉 / 固相拡散接合 / 金属被覆膜

Research Abstract

低放射化ブランケット構造材料の候補の一つである炭化珪素系複合材料(SiC/SiC)を用いて作製する機器システムにおける気密性シールの開発のために、金属系材料を気密性被覆に使用することを前提に候補材料の検討と密着性検討のための実験を行った。気密性被覆の候補材料として金属元素の中から、(1)核融合中性子による放射化の小さい元素、(2)SiCと接合しやすい元素、(3)水素透過を起こしにくい元素という条件で被覆候補となる材料を探索した。その結果、SiCとの接合が過去に報告されて接合が可能である低放射化元素として、Cr, W, V, Tiを候補材料として取り上げた。気密性被覆は核融合炉の燃料でありかつトリチウムを透過しにくい材料である必要があるので、水素透過しやすいVとTiは純金属としてではなく被覆材料の合金添加用の候補元素とし、今年度はCrとWを中心に接合挙動を調べ、これらのデータをもとに密着性の高い薄膜形成の可能性について検討した。
実験はSiC多結晶材を用いて、これにWおよびCrを接合試料として試験体を作り、真空中で1200℃から1400℃の範囲で約3MPaの圧縮応力を負荷しながら接合した。SiCとCrについては一部に界面反応が見られ、接合することが確認されたが、その接着強度が十分でなく界面接合強度を測定することは出来なかった。またWについては1400℃までの接合では接合が確認できなかった。一方、TiについてはSiCやWとの界面反応により接合することが確認できたが、熱膨張率がことなることから接合後の冷却中に界面の熱応力が大きくなり、剥離することが分かった。これらの結果をもとに、今後はTiとCrを中心に低放射化気密被覆の作製を行うこととした。