2002 Fiscal Year Annual Research Report
溶融塩を用いる先進的窒化物燃料再処理プロセスのための化学的・電気化学的研究
Project/Area Number |
14658140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 靖彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (20026066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
後藤 琢也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60296754)
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30237911)
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Keywords | 溶融塩 / 電位-pN^<3->図 / 乾式再処理 / 希土類窒化物 / 窒素ガス電極 / 電気化学プロセス |
Research Abstract |
平成14年度は、雰囲気制御多目的グローブボックス内に組んだパイレックス製およびステンレス製の特注電解セルを用い、窒化物燃料乾式再処理法の工学的な適応性評価を行うために必要不可欠となる、LiCl-KCl系をはじめとする種々の溶融塩中での窒素およびその化合物に関する熱力学的および速度論的基礎データの集積を行うことを目的とした。そこで、まず、平衡論的観点からの検討を種々行った。具体的には、溶融LiCl-KCl-Li_3N中でN_2ガス電極のN_2ガス分圧を変化させた場合、浸漬電位はN_2ガス分圧の対数に対して直線的に貴な電位にシフトした。直線の傾きは0.023V/decadeであり、これは、Nernstの関係が成り立つ場合の723Kでの3電子反応の理論値とほぼ一致する。同様に、電位に対する窒化物イオン濃度の依存性を調べたところ、浸漬電位と窒化物イオン濃度の対数の間にも、良好な直線関係があることがわかった。また直線部分における傾きは0.048V/decadeであり、理論値と良い一致を示した。以上の検討から、溶融LiCl-KCl(723K)おいてナイトライドイオンと窒素ガスの間には平衡反応が存在し、また、この反応の平衡電位は、0.382V(vs.Li^+/Li)であることが分かった。先の検討で得られた窒素ガス電極反応の平衡電位から723Kにおける窒化物イオンの標準化学ポテンシャルを941kJmo1^<-1>と求めることができ、さらに、窒化物に含まれる金属元素の標準単極電位及び窒化物の標準化学ポテンシャルが求まれば、電位-pN^<3->図を作成することができる。実際、Ce,La,Y等の希土類元素およびUとPuについても電位-pN^<3->図を作成した。特にUについてはUN、U_2N_3および窒化塩化物を考慮に入れた電位-pN^<3->図の作成も出来た。一方、速度論的観点からの検討も種々行った。具体的には、溶融LiCl-KClにLi_3Nを窒化物イオン源として添加した浴中、種々の電極材料上での窒化物イオンの電気化学挙動を調べ、得られた結果を元に、種々の電解条件で、Cr-N、Zn-Nおよびステンレス窒化物等の種々の窒化物を電気化学的に形成させ、その窒化物の形成電位と形成窒化物相の関係を明らかにした。さらに、クロムおよびステンレスの窒化の場合について電解時間と窒化物形成速度の関係をSEMやEPMAを元に検討したところ、窒化物の膜厚成長が、電解電位が貴であるほど促進されることが分かった。また、これらの検討と併行して新規な溶融塩の合成を行い、得られた溶融塩の化学的・物理的特性について検討を加えた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Tsujimura, T.Goto, Y.Ito: "Electrochernical formation and control of chromium nitride films in molten LiCl-KCl-Li_3N systems"Electrochimica Acta. Vol.47. 2725-2731 (2002)
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[Publications] R.Hagiwara, K.Matsumoto, T.Tsuda, Y.Ito, S.Kohara, K.Suzuya, H.Matsumoto, Y.Miyazaki: "The structures of alkylimidazoliulm fluorohydrogenate molten salts studied by high energy X-raydiffraction"J. Non-cryst. Solids. Vol.312-314. 414-415 (2002)
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[Publications] T.Oishi, T.Hattori, T.Goto, Y.Ito: "Formation of Carbon Nitride by Anode-Discharge Electrolysis of Molten Salt"Journal of The Electrochemical Society. 149. D178-D181 (2002)
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[Publications] T.Iida, T.Nohira, Y.Ito: "Electrochemical Formation of Sm-Co Alloy Films by Li Codeposition Method in A Molten LiCl-KCl-SmCl_3 System"Electrochimica Acta. Vol.48. 901-906 (2003)
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[Publications] H.Konishi, T.Nohira, Y.Ito: "Kinetics of DyNi_2 Film Growth by Electrochemical Implantation"Electrochimica Acta. Vol.48. 563-568 (2003)