2002 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の電子伝達複合体形成の阻害剤開発とプラスチド酸化還元反応の制御
Project/Area Number |
14658195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00127276)
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Keywords | 電子伝達反応 / 光合成 / フェレドキシン / フェレドキシン:NADP+還元酵素 |
Research Abstract |
光合成ではたらく電子キャリアー蛋白質であるフェレドキシン(Fd)は、電子授受の相手側酵素と特異的な蛋白質間相互作用ができる特性を備えている。この相互作用の主要なものは、蛋白質の塩基性アミノ酸と酸性アミノ酸の塩橋形成による静電的結合力であり、これらの側鎖荷電と同様なあるいは逆の荷電の三次元分布をもつペプチドや低分子化合物はFdとFNRの蛋白質間相互作用力を弱め、分子間電子伝達反応を特異的に阻害することが期待される。本年度は、複合体の立体構造情報を基に分子間相互領域と類似の構造を持つ一群のペプチド・蛋白質の阻害効果の評価を系統的に行い、以下の知見を得た。 1)亜硫酸還元酵素やFd:NADP+還元酵素(FNR)との電子伝達反応において、電位が約200mVした変異体Fdはそれ自身は電子伝達不活性であるが、野生型Fdに対して競争阻害的に働き、そのKiは野生型FdのKmと同程度であことから、構造特異的な阻害分子として機能することが判明した。 2)ポリリジン及びポリグルタミン酸を用いて、FdとFNRとの電子伝達反応の阻害を調べた結果、ポリリジンが強い阻害効果を持つことが判明した。 3)重合度の異なるポリリジン(4mer、8mer、16mer、32mer)を化学合成し、上記の阻害効果を定量的に解析したところ、32merのものが数10μg/mlの濃度で50と阻害を示すことが判明した。一方、16merや8merはmgオーダーの濃度が必要であった。また、リジンとアラニンの32mer重合体(KA)_<16>では阻害能はリジン単独のものより低く、アミノ酸側鎖の陽電荷の分布の重要性が示唆された。 今後、上記の実験結果情報に基づき、非解離性残基と解離性残基の組み合わせ配列を系統的に検討し、阻害に必要な構造要因を明らかにする。
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