2002 Fiscal Year Annual Research Report
BRINPファミリータンパク質の神経系における生理機能と病態における役割の解明
Project/Area Number |
14658197
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松岡 一郎 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (40157269)
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Keywords | 骨形成因子 / レチノイン酸 / 神経分化 / BRINPファミリー / 交感神経細胞 / 細胞増殖抑制 / 遺伝子ノックアウト / 神経系特異的遺伝子 |
Research Abstract |
BRINPファミリーは,我々が最近発見した神経特異的新規遺伝子ファミリーであり,交感神経細胞の分化過程において誘導されるBRINP1(BMP/Retinoic acid-Inducible Neural specific Protein 1)とこれに類似する2種類のタンパク質(BRINP2,BRINP3)からなる.いずれのBRINPも神経系の多くの部位に特異的に発現する.さらに神経活動の昂進によっても神経細胞におけるBRINP1の発現が誘導されるため,神経回路形成や脳の高次機能における生理的役割が推定される.本研究ではノックアウトマウスの作製や発現系の構築を通じて,BRINPファミリーの生理機能を解明することと,種々の病態における役割を解明することを目的とする. 現在までの成果として,以下の結果を得た: 1)交感神経細胞の分化過程において,BRINP3からBRINP1への発現交替,その後の神経細胞成熟過程における,BRINP2の誘導などが明らかにされた.今後,神経細胞の分化ステージに対応した各BRINPの機能分担を解析する. 2)BRINP1-exon2のノックアウトマウスを作製した.このマウスは,生存並びに繁殖可能である.このマウスについて,BRINP1蛋白質の発現状態,神経系の形成異常,学習記憶能力の変化,細胞増殖能の変化を解析する. 3)さらにBRINP2およびBRINP3のノックアウトマウス作成のためのターゲテイングベクターを構築した.今後,BRINP2およびBRINP3のノックアウトマウスを完成させ,各BRINPの個体レベルでの生理機能やBRINP1との機能的相補作用を明らかにする. 4)動物細胞株を用いた発現系を構築した結果,各BRINPはいずれもcDNAから予想される全長タンパク質として存在し,細胞質に分布することを明らかにした.今後,細胞増殖(神経細胞特異的細胞周期制御)に対する作用を解析する.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] MATSUOKA, I., NAKATANI, T., Toda, F., Ueno, T., Mori, T.: "Identification and characterization of a novel neural-specific protein family, BRINP"Abst. Soc. Neurosci.. 32(online edition). (2002)
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[Publications] Mitsui T, Kakizaki H, Shibata T, Tanaka H, Matsuoka I, Koyanagi T: "Transplanted immortalized neural stem cells into injured spinal cord promote recovery of urinary bladder function in rats"Neurourology and Urodynamics. 21. 403-404 (2002)
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[Publications] KAMIYA, H., FUJIMURA, Y., MATSUOKA, I., HARASHIMA, H.: "Visualization of intracellular trafficking of exogenous DNA delivered by cationic liposomes"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 8. 591-597 (2002)