2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂質膜物性の実時間顕微鏡画像解析装置による非二重層形成脂質の生体膜機能制御の研究
Project/Area Number |
14658208
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大木 和夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80115394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 哲彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10250664)
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Keywords | 非二重層形成脂質 / 顕微鏡画像化解析 / 密度測定 / 脂質変換 / 生体膜物性 / ラフ / 膜透過性 / 実時間観察 |
Research Abstract |
生体膜の構造を形成する脂質分子は分子種により多様な形状をもち、その形状は酵素による脂質代謝で変化する。円柱状分子が形成する平面的な二重層構造に対して、円錐型分子はヘキサゴナルII構造、逆転ミセルなどの非二重層構造を形成する傾向をもつ。膜脂質分子の円柱状から円錐状への代謝的な変換が生体膜(脂質膜)の構造と物性をどのように変化させ機能を制御するかを解明する研究を実施した。円柱状分子のスフィンゴミエリンで調製した巨大リポソームをスフィンゴミエリナーゼで処理して円錐型のセラミドに変換させた際の膜の崩壊過程と膜透過性の増加を顕微鏡下に実時間で観察した。脂質変換に伴う張力変化と自発曲率についての理論的な解析から膜に形成された穴のサイズを見積もることができた。また、生体膜における脂質の形状変換の効果を調べる次の研究を実施した。CHO細胞にスフィンゴミエリナーゼを処理して膜の流動性を環境感受性色素Laurdanで顕微鏡下に観察し、膜流動性をGeneralized Polarization値として画像化する実験を行った。これには、既に開発を終了した膜流動性画像化システムを使用した。その結果、スフィンゴミエリナーゼのみで細胞を処理したときには膜流動性はほとんど変化しなかった。しかし、細胞膜からコレステロールを抜き取るメチルβシクロデキストリンで膜流動性が変化しない程度の低濃度処理を施した後、スフィンゴミエリナーゼ処理を行うと濃度依存的な膜流動性の低下が観察された。スフィンゴミエリンとコレステロールは細胞膜内にラフトと呼ばれるドメインを形成し特別な機能を担う分子が集積していると考えられている。この結果はラフト形成におけるスフィンゴミエリンとコレステロールの選択的な相互作用についての知見を与えるものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 谷口幸範, 宮田英威, 大木和夫: "スフィンゴミエリナーゼ処理が膜の形態およびトポロジー変換に及ぼす影響の研究"脂質生化学会研究. 45. 148-151 (2003)
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[Publications] J.Ishikawa, J.Okano, K.Ohki, A.Amagai, Y.Maeda, H.Miyata: "Phagocytosis of Dictyostelium discoideum studied by the particle-tracking method."Experimental Cell Research.. 288・2. 268-276 (2003)
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[Publications] Naoki Toyoshima, Takahiro Deguchi, Takehiro Kazuma, Kazuo Ohki: "Change in the physical properties of membrane with shape change of membrane lipid and function of the biomembrane"Membrane Symposium. 14. 105-108 (2003)
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[Publications] 大場哲彦, 渡名喜力, 大木和夫: "環境感受性色素Laurdanは何を感じているか"膜. 29(印刷中). (2004)