2002 Fiscal Year Annual Research Report
皮質視蓋路線維の経路探索と標的認識におけるリーリンカスケード分子の機能
Project/Area Number |
14658244
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺島 俊雄 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20101892)
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Keywords | リーラーマウス / SRKラット / 皮質視蓋路 / 網膜視蓋路 / 上丘 / リーリン / 神経回路形成 / 層構造 |
Research Abstract |
上丘は層構造を特徴とする領域であるが、その層形成の分子メカニズムは余りわかっていない。リーリンタンパクを欠損するリーラーマウスやSRKラットの上丘への視覚性入力線維は上丘内で経路の異常を示すことが知られている。そこでリーリンが上丘に発現しているか否かをin situ hybridization法と免疫組織化学法により検討した。 用いた動物は胎生20日〜生後21日のリーラーマウス、SRKラット、対照動物である。これらの動物を灌流固定し、後固定後、上丘を含む領域をパラフィン包埋し、矢状断、前額断の完全連続切片を作成した。in situ hybridization用のRNAプローブは、マウスreelinの約5000bpのフラグメントをプラスミドベクターに組み込んだものをテンプレートとしてDIG RNAラベリングキットを用いてジゴキシゲニン標識したRNAプローブを作成し、in situ hybridizationを行った。一方、ラットリーリンのN端あるいはC端の合成リーリンタンパクを抗原としてウサギに免役し、リーリンポリクローナル抗体を作成し、免疫染色を行った。 胎生20日および生後0日令の正常マウス・ラットの上丘表層にリーリンmRNAを発現する細胞が分布した。一方、生後21日令の正常マウス・ラットの上丘にはリーリンmRNAのシグナルはなかった。同様に胎生20日および生後0日の正常マウス・ラットの上丘表層にリーリン抗体陽性細胞が存在したが、生後21日にはなかった。リーラーマウスやSRKラットではいかなる日令においてもリーリンシグナルを認めなかった。以上より、幼若時期の上丘の表層にはリーリンmRNAとタンパクが存在し、かつリーラーマウスやSRKラットで上丘に至る視覚性入力線維の走行異常があることより、リーリンタンパクはこれらの回路の軸索ガイダンスを行うと思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Aoki T: "Abnormal distributions of callosal commissural and corticothalamic neurons in the cerebral neocortex of Shaking rat Kawasaki"Neuroscience. 114(2). 295-297 (2002)
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[Publications] Ohkubo N: "Apolipoprotein-E and reelin ligands mediate tau phosphorylation through apolipoprotein-E receptor/Disabled-1/glycogen synthase"FASEB Journal. 296. 295-297 (2003)
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[Publications] Yamamoto T: "Ectopic corticospinal tract and corticothalamic tract neurons in the cerebral cortex of the yotari and reeler mice"Journal of Comparative Neurology. (印刷中).
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[Publications] Sakakibara S: "The Role of Reelin in the Formation of Laminar Organization of the Superior Colliculus"Developmental Brain Research. (印刷中).
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[Publications] 青木岳也: "リーリンシグナル伝達系とアルツハイマー病との関連性"脳と精神の医学. 13(4). 411-417 (2002)
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[Publications] 寺島俊雄: "Shaking rat Kawasakiにおける運動失調とその解剖学的基盤"CLINICAL NEUROSCIENCE. 21(2). 168-170 (2003)