2003 Fiscal Year Annual Research Report
皮質視蓋路線維の経路探索と標的認識におけるリーリンカスケード分子の機能
Project/Area Number |
14658244
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺島 俊雄 神戸大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20101892)
|
Keywords | リーリン / リーラーマウス / SRKラット / 上丘 / 皮質上丘路 / 層構造 |
Research Abstract |
リーリン欠損動物、すなわちリーラーマウスとSRKラットの上丘の細胞構築と練経構築を調べた。 生後3週のリーラー、SRKラット、およびそれぞれの対照動物を灌流固定し、後固定後、上丘を含む領域をパラフィン包理した。矢状断、前額断の完全連続切片を作成し、クリュバー・バレラ法により細胞構築を調べ、その隣接切片を抗ミエリン塩基性蛋白抗体を用いた免疫組織化学法により上丘の髄鞘構築を調べた。また動物の上丘にHRPを注入後、2日後に灌流固定し、大脳皮質の前額断凍結切片を作成してTMB法により逆行性標識皮質上丘路ニューロンの分布を調べた。さらに動物の視覚野にビオサイチンを注入後、2日目に灌流固定し、HRP-アピジンを用いて順行性に標識された皮質視蓋路線経を調べた。 クリュバー・バレラ法によればリーラー、SRKラットの上丘浅層の細胞構築は異常であった。しかし抗ミエリン抗体を用いた免疫組織化学によれば、正常マウスでは上丘の第3層(視神経線維層)に有髄繊維が限局していたが、第1/2層にははとんど有髄繊維は認められなかった。一方、リーラーとSRKラットでは、有髄繊維は上丘の表層(第1-3層)の全域に広く分布していた。以上よりリーラーと、SRKラットの上丘の細胞構築は異常であり、それに伴い繊維構築が異常となることを証明した。一方、ビオサイチンで順行性に標識された皮質上丘路繊維は、正常では上丘の第3層より垂直に上位の層に進入するが、リーラーでは、このような繊維の他に上丘の最表層より下方に向かう繊維も多く認められた。本研究は、リーラーとSRKラットの上丘の細胞構築は正常であるが、その髄鞘構築は異常であることを証明した。さらに、この異常線維構の少なくとも一部は、皮質上丘路繊維であることを明らかにした。以上より、リーリン分子は皮質上丘路繊維の経路探索と終末形成のガイダンス分子としての機能を持つことが明らかとなった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Yamamoto T: "Ectopic corticospinal tract and corticothalamic tract neurons in the cerebral ocrtex of yotari and reeler mice"Journal of Comparative Neurology. 461(1). 61-75 (2003)
-
[Publications] Kikkawa S: "Missplicing resulting from a short deletion in the reelin gene causes reeler-like neuronal disorders in the mutant shakina rat Kawasaki"Journal of Comparative Neurology. 463(3). 303-315 (2003)
-
[Publications] Takeda S: "Fukutin is required for maintenance of muscle integrity, cortical histiogenesis, and normal eye development"Human Molecular Genetics. 12(12). 1449-1459 (2003)
-
[Publications] Tsukamoto Y: "Retrograde labeling of Mouse Spinal Descending Tracts by Recombinant Adenovirus"Archiev of Histology and Cytology. 66(3). 209-220 (2003)
-
[Publications] Misaki K: "Reelin Expressing.Neurons in the anterior commissure and corpus callosum of the rat"Developmental Brain Research. 148(1). 89-96 (2004)