2004 Fiscal Year Annual Research Report
皮質視蓋路線維の経路探索と標的認識におけるリーリンカスケード分子の機能
Project/Area Number |
14658244
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺島 俊雄 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20101892)
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Keywords | リーリン / リーラーマウス / SRKラット / 上丘 / 皮質視蓋路 / 視蓋脊髄路 |
Research Abstract |
クリュウバー・バレラ染色とミエリン塩基性タンパク抗体を用いた免疫染色によりラットリーリン遺伝子を欠損するSRKラットの上丘の細胞構築と線維構築に異常があることを既に明らかにしている(Sakakibara and Terashima,2001)。今年度は、リーリンタンパクおよびその下流にあるDab1タンパクがマウスやラット上丘の線維結合形成に関与しているか否かを明らかにする目的で、神経回路標識法により上丘の入力系(大脳皮質視蓋路、網膜視蓋路)および出力系(視蓋脊髄路)をそれぞれ順行性および逆行性標識法により検討した。用いた実験動物は生後0日〜3週のマウス・リーラーとヨタリ、SRKラットおよび対照動物である。視覚野にDiI、ビオサイチン、デキストランアミンを注入後、2日目に灌流固定し、HRP-アビジンを用いて順行性に標識された大脳皮質視蓋路線維を可視化した。別に眼球にWGA-HRPを注入し、網膜視蓋路を順行性に標識した。さらにHRPあるいはファースト青を頚髄上部に注入し、視蓋脊髄路を逆行性に標識した。また胎生15日〜生後0日のSRKラットおよび対照動物の上丘の抗リーリン抗体(ラビット・ポリクローナル)を用いた免疫染色とrat reelin cRNAプローブを用いたin situ hybridizationを行った。標識大脳皮質視蓋路線維は、正常動物では上丘の中層より浅層に向かうが、リーラー、ヨタリ、SRKラットでは正常と同様の経路をとる標識線維の他に浅層より中層に至る線維が認められた。WGA-HRPにより順行性に標識された網膜視蓋路線維は、正常動物では上丘のoptic layerを通過するが、SRKラットでは、さらに上丘の表層を通過後に深層に向かう線維があった。逆行性に標識された視蓋脊髄路ニューロンは大型で、上丘の最深層(第6層)に分布し、リーラー、ヨタリ、SRKラットと対照動物間に差を認めなかった。リーラー、ヨタリ、SRKラットの上丘の入力系(大脳皮質視蓋路、網膜視蓋路)の上丘内の経路に異常が認められたが、出力系(視蓋脊髄路)には異常を認めなかった。また予備的ながら胎生16日〜生後0日の正常動物の上丘表層において一過性にリーリンタンパクとリーリンmRNAが発現しえいることを証明できたので、リーリンタンパクは上丘の入力系の線維結合の誘導を行うことが示唆された。
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Research Products
(6 results)