2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14658261
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仲嶋 一範 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90280734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
味岡 逸樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10348790)
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Keywords | 大脳皮質神経細胞 / 脳室帯 / 神経細胞移動 / 層形成 / 大脳皮質構築 |
Research Abstract |
大脳皮質神経細胞は、脳室に面した脳室帯(神経幹細胞の存在部位)で誕生し、脳表面側へと移動した後、6層からなる多層構造を形成する。この層形成機構の従来の研究は、移動終点部位から分泌されるリーリンによる制御を始め、移動細胞への外部からの制御機構を対象としたものが殆どであった。本研究では、神経細胞の最終配置が、移動細胞自身の脳室帯での誕生時にどの程度、また、どのように制御されるのかを解明することを目標としている。本年度は、まず、発生各時期の大脳皮質脳室帯を実体顕微鏡下で切り出して、RNAを調整し、発現レベルが時期によって大きく変動する遺伝子群を、DNA Chipを用いて検索した。その結果、発生初期に多く、次第に発現量が減少する分子群、発生中期に多く、初期や後期には少ない分子群、発生が進むにつれて発現量が増加する分子群の三種が、各々数十クローン見いだされた。これらのうち、特に胎生14日(細胞移動の制御機構が変化すると考えられている時期)の脳室帯に特異的に発現量が多い分子群に着目し、胎生14日生まれの神経細胞がその後脳表面へと移動開始後にも発現が保たれる分子群を検索することを試みた。予備実験として、胎生14日生まれの細胞がどの時期に中間帯を通過するかをラベル実験によって検討したところ、胎生16日頃であることが明らかになった。そこで、さらに、胎生16日の中間帯を実体顕微鏡下で切り出し、RNAを調整して、同様にDNA Chip解析を行い、胎生14日の脳室帯と、胎生16日の中間帯の両者で発現が多い分子群の検索を行った。これらの配列解析をさらに行い、シグナルペプチド、または、膜貫通領域を有すると推定される候補分子を中心に、cDNAを単離または入手して、in situ hybridizationによってその発現部位と変化を調べた。これまでに解析が終了したクローンのうち、興味深い発現プロファイルを示したものについて、さらに抗体を入手し、タンパク質レベルでの分布を検討中である。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Ken-ichiro Kubo: "Secreted Reelin molecules form homodimers"Neurosci.Res.. 43. 381-388 (2002)
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[Publications] Hidenori Tabata: "Neurons tend to stop migration and differentiate along the cortical internal plexiform zones in the Reelin signal-deficient mice"J.Neurosci.Res.. 69. 723-730 (2002)
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[Publications] Ken-ichiro Kubo: "Cell and molecular mechanisms that control cortical layer formation in the brain"Keio J.Med.. (In press).
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[Publications] Takao Honda: "Cellular and molecular mechanisms of neuronal migration in neocortical development"Sem.in Cell & Develop.Biol.. (In press).
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[Publications] 仲嶋一範: "大脳皮質形成のメカニズム"慶應医学. 79. 135-143 (2002)
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[Publications] 工藤千加子: "神経細胞の移動と配置決定のメカニズム"Brain Medical. 14. 371-377 (2002)
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[Publications] 田畑秀典: "大脳皮質神経細胞の移動様式"神経細胞移動と軸索伸長のダイナミクス(蛋白質 核酸 酵素). 47. 1994-2001 (2002)
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[Publications] 仲嶋一範: "大脳皮質構築とReelin"Annual Review神経2003. 10-17 (2003)
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[Publications] 田畑秀典: "組織幹細胞:神経(細胞移動)"再生医学(Molecular Medicine臨時増刊号). 40. 287-297 (2003)
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[Publications] 仲嶋一範: "遺伝子導入・発現解析プロトコール"羊土社(印刷中). (2003)