2003 Fiscal Year Annual Research Report
精細管内遺伝子導入による新規なトランスジェニック動物作製法の開発
Project/Area Number |
14658274
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
多田 昇弘 順天堂大学, 医学部, 講師 (50338315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (30287099)
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Keywords | Testis-mediated gene transfer (TMGT) / リポゾーム / ウイルスベクター / マウス / 精細管内注入 / 精巣間質内注入 / 精原細胞 / トランスジェニック動物 |
Research Abstract |
1.目的 精細管内へ直接DNAを注入することにより、精原細胞への遺伝子導入を試み、効率的なトランスジェニック動物作製法を開発する。 2.方法及び結果 (1)DNA-liposome complexの幼若マウス精細管への注入 DNA(CAG-EGFP)とliposome(DMRIE, SuperFect)のcomplexを生後2週齢のマウス精細管あるいは精巣間質内に各々注入した後、6週目より注入された雄マウスとワイルドタイプの雌を交配させ産仔(FO)を得た。これらのFOマウスについて、精巣内に注入された遺伝子が伝達されるか否かを確認するために、FOマウスより尻尾を採取し、PCR法により導入遺伝子の存在を確認した。また、EGFPの発現を確認するためにFOマウスにUV照射を行い、蛍光の有無を確認した。また、精巣へ遺伝子導入したマウスと過排卵処置した雌マウスと交配せしめ、プラグ確認日に1細胞期卵を採取し、蛍光顕微鏡によりEGFPの発現を確認した。その結果、精細管及び精巣間質注入群、DNA-liposome comlex注入群のいずれの群においてもFOマウス及び受精卵への遺伝子の伝達は確認できなかった。 (2)レトロウイルスベクターを用いた経精巣遺伝子導入の試み 生後2週齢の雄マウスの精細管あるいは精巣間質内にgene silencing抵抗性あるいは非抵抗性レトロウイルスベクターGCDNsapを介してEGFP遺伝子を各々導入した。導入後、6週目より遺伝子導入した雄マウスとワイルドタイプの雌マウスを交配させ、その産仔(FO)への導入遺伝子の伝達をPCR法により確認した。その結果、gene silencing抵抗性及び非抵抗性レトロウイルスベクターを精細管あるいは精巣間質に注入したいずれの群においても、すべての精巣内導入マウスからEGFP遺伝子を有するFOマウスが得られた。更に、これらのFOマウスをワイルドタイプの雌マウスと交配させてF1マウスを得た後、PCR解析を行ったところ導入遺伝子が確認された。以上のことから、レトロウイルスベクターを用いた経精巣遺伝子導入では、導入マウスから高率に遺伝子導入されたFOマウスが得られること、及びF1マウスにも伝達されることが明らかになった。今後、FO、F1マウスについてSouthern blotによるコピー数の確認及びRT-PCR、Northern blotによるEGFPの発現を確認した後、FISH解析による導入遺伝子の染色体における挿入部位の同定を行う予定である。
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