2004 Fiscal Year Annual Research Report
精細管内遺伝子導入による新規なトランスジェニック動物作製法の開発
Project/Area Number |
14658274
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
多田 昇弘 順天堂大学, 医学部, 講師 (50338315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (30287099)
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Keywords | Testis-mediated gene transfer(TMGT) / レトロウイルスベクター / 精細管内注入 / 精巣間質内注入 / 精子幹細胞 / トランスジェニック動物 |
Research Abstract |
我々は、精子細胞への遺伝子導入による遺伝子改変動物作製の可能性を明らかにするために、マウス精巣への遺伝子導入技術の開発に取り組んでいる。今までのところ、マウス精巣間質にDNA-リポゾーム複合体を注入した後、雌マウスとの交配により、注入されたDNAが受精を通じて効率的に胎児へ伝達されることを見出している。しかし、この方法では、導入された遺伝子のコピー数が極めて少ないことがわかっている。そこで、本研究は、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入でも同様の現象が起こり得るのかを確認するとともに、精子幹細胞への効率の良い遺伝子導入法を開発することを目的として行った。 本実験では、EGFP遺伝子を挿入したgene silencing抵抗性レトロウイルスベクターGCDNsapを生後10日齢及び8週齢のマウス精巣の間質及び精細管へ各々注入することにより、精子幹細胞及び精子細胞への遺伝子導入を試みた。次いで、生後10日齢及び8週齢のマウスは、ベクター注入後7週目及び4週目から雌と各々交配させ、産仔を得た。これらの産仔の尻尾についてサザンプロットを行い、導入遺伝子の存在を調べた。その結果、生後8週齢でGCDNsapを精巣に注入されたマウスからは、間質及び精細管内注入いずれにおいてもTg産仔は得られなかった。一方、生後10日齢でGCDNsapを精巣に注入されたマウスでは、精細管内注入においてのみTg産仔が確認された。また、これらのTg産仔由来の子孫において導入遺伝子の伝達及びEGFPの発現が確認された。このことから、精子形成が始まっていない幼若マウス精巣の精細管内への遺伝子導入により多コピーのTgマウスが得られることがわかった。なお、この成果については、平成16年度の第27回日本分子生物学会年会にて発表した。また、論文は投稿準備中である。
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