2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞を診断・選別・純化するマイクロセルチップの開発
Project/Area Number |
14658292
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 康雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90336032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸秋 悟 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10336018)
松田 武久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60142189)
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Keywords | タンパク質マイクロアレイ / 病態診断技術 / 細胞の純化・選別 / 自己組織化単分子膜 / 光微細加工 |
Research Abstract |
【本研究の背景】 血液など患者の生体サンプルに含まれる細胞の表現型(細胞膜表面の抗原等)の解析は医療方針を決定するために重要である。しかしながら従来のFACS(fluorescent activating cell sorting)を用いた方法は、一度に数個の表現型しか解析できないうえ、専門的知識と経験が必要である。そこで本研究では、極少量の生体サンプル中の多種類の細胞集団の表現型を簡便且つ迅速に定量する技術をマイクロセルチップと名付け、以下のような検討を行った。 【研究実績の概要】 1)マイクロセルチップの作製 金表面におけるアルカンチオールの自己組織化単分子膜形成と、微細孔を有するフォトマスクを介した紫外線照射により、親水性/撥水性パターン表面を作製した。親水性微小領域表面にカルボキシル基を固定することで、微量液滴の安定した規則的配置および縮合剤を用いたタンパク質の化学固定が容易に行えた(マイクロセルチップ)。免疫発色反応により、ドメイン内にタンパク質が均一に固定されていることを確認した。 2)白血球表現型の定量的解析 健常人の末梢血より分離した白血球を、白血球表面抗原に対する抗体を固定したマイクロセルチップ上に播種し、37℃にて1時間培養後、未接着細胞を洗浄・除去し、接着細胞を顕微鏡で観察した。接着細胞の免疫染色などにより、白血球がその表面抗原に対応する抗体固定領域に特異的に接着することを確認した。さらに、それぞれのドメイン上接着細胞数から算出した血液中白血球の表現型数比は、従来法のFACSを用いた解析結果とほぼ一致することを確認した。 【今後の発展性】 マイクロセルチップは、極微量の生体サンプルに含まれる細胞表現型の簡便かつ迅速な解析を可能にし、より迅速な医療診断に貢献すると期待できる。また、抗体以外のタンパク質や糖鎖をも固定することで、様々な幹細胞や前駆細胞の選別などにも応用可能と期待できる。
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