2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14702004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中家 剛 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50314175)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / ニュートリノ質量 / フレーバー混合 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、K2K(つくば-神岡間長基線ニュートリノ振動)実験に新型ニュートリノ検出器を新たに建設し、ニュートリノ反応の詳細な研究を進展させ、ニュートリノ振動の測定精度を向上させることである。特に、長基線ニュートリノ実験の利点であるニュートリノ質量の二乗差を精密に決定することを目指している。 平成15年度は新型ニュートリノ検出器(SciBar検出器)を建設し、ニュートリノデーター収集を開始した。特に本研究費でSciBar検出器に角いるデータ記録用電子回路を開発・製作した。SciBar検出器は平成15年10月から約4ヶ月間、ニュートリノビームを使って30,000事象のニュートリノ反応のデータを記録した。現在このデータを解析中である。ニュートリノ反応の研究の最初のステップは荷電カレント反応におけるμ粒子の運動量分布の測定である。SciBarで測定されたμ粒子の運動量分布はモンテカルロシミュレーションの予想とよく一致していることを確認した。またμ粒子の放出角度分布において前方方向でミュレーションの予想より優位に少ないことが観測された。今後各種ニュートリノ反応毎に事象を分けて詳細に研究していく必要がある。次にニュートリノエネルギー測定に用いる、荷電カレント準弾性散乱(ν+n→μ+p)を観測し、この反応の特徴である陽子を検出した。K2K実験のエネルギーでは低エネルギー陽子が生成されるので、検出器中でのエネルギー損失から陽子の飛跡をμ粒子の飛跡と区別することが可能である。実際に観測された飛跡のエネルギー損失を基に粒子識別を行い、誤認率5%以下で陽子を識別できることを確認した。SciBar検出器の基本性能のチェックはほぼ終了し、ニュートリノ振動の精密測定を行う準備が完了した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.H.Ahn, et al.: "Indications of neutrino oscillation in a 250 km long baseline experiment."Phys.Rev.Lett.. 90. 041801 (2003)
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[Publications] T.Nakaya: "Future Experiments with Super neutrino beams"Nucl.Phys.Proc.Suppl.. 118. 210-219 (2003)
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[Publications] T.Nakaya: "The JHF-Kamioka neutrino experiment"Nucl.Instrum.Meth.. A503. 167-172 (2003)
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[Publications] Y.Fukuda, et al.: "The Super-Kamiokande Detector"Nucl.Instrum.Meth.. A501. 418-462 (2003)