2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14702006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武貞 正樹 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30311434)
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Keywords | 量子常誘電体 / 光誘起協力現象 / ペロフスカイト型酸化物 / 非平衡物理 / 光誘起相転移 / 同位体効果 |
Research Abstract |
本研究では原理面でも新しい光誘起相転移系の開発を目指し、量子揺らぎにおける非平衡光誘起協力現象の機構解明を最終目的とし研究を行った。具体的には量子常誘電状態が報告されているSrTiO_3、KTiO_3、CaTiO_3に注目し、DC電場印加下で紫外光励起を行い量子常誘電状態における光・電場誘起効果を誘電率測定と第2次高調波(SHG)光強度測定により明らかにした。先ず誘電測定の実験では量子常誘電状態を示す3種類の単結晶試料(SrTiO_3、KTiO_3、CaTiO_3)において共通してDC電場印加下で紫外光励起により光・電場誘起効果が巨大な誘電率増強として測定され、一方SrTiO_3において酸素同位体^<16>Oを^<18>Oで置換することで量子常誘電性が消失して強誘電性が出現するSrTi^<18>O_3では同様の光・電場誘起効果は観測されないことを明らかにした。本実験結果により観測された光・電場誘起効果は量子常誘電状態に物理的起源を持つ現象であることを明らかにした。光・電場誘起効果は誘電率の増強と共に誘電損失の増強が観測されることから本現象が紫外光励起により結晶内にドープされた励起電子を重要な役割を演じ物質中の協力的相互作用を介して新奇な光・電場誘起効果が観測されたものと考えられる。またさらに光・電場誘起効果の電場強度依存性と紫外光励起強度依存性を測定し、それぞれのパラメータに対して顕著な非線形性が観測されることを明らかにした。本結果により観測された光・電場誘起効果は物質を支配する協力的相互作用を反映しているものと考えられる。次にSHG光強度の視点から光・電場誘起効果を測定した結果、その電場強度依存性は誘電率で観測された光・電場誘起効果と類似した依存性を示すことを明らかにした。本結果は量子常誘電状態の協力的相互作用である双極子相互作用が光・電場誘起効果の一つの起源となっているとするモデルを支持する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Takesada, T.Yagi, M.Itoh, S.Koshihara: "A Gigantic Photoinduced Dielectric constant of Quantum Paraelectric Perovskite Oxides Observed under a weak DC Electric Field"Journal of Physical Society of Japan. 72・1. 37-40 (2003)
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[Publications] Y.Ogawa, S.Koshihara, M.Takesada, T.Ishikwa: "New Class of Photo-induced Cooperative Phenomena in Organic and Inorganic Hybrid Complexes"Phase Transition. 75・7-8. 683-688 (2002)
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[Publications] T.LUTY et al.: "Static and dynamic order of cooperative multi-electron transfer"Europhysics Letters. 59・4. 619-625 (2002)
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[Publications] Y.OGAWA, S.KOSHIHARA, MOTAKESADA, T.ISHIKAWA: "Electronic and Structural Phase Transition Controlled by Photo-excitation and Magnetic Field in Spin Crossover Complex"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. 379. 357-364 (2002)