2004 Fiscal Year Annual Research Report
有限サイズ量子XYZ鎖における無限次元対称性の出現と準位交差そして温度相関関数
Project/Area Number |
14702012
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
出口 哲生 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (70227544)
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Keywords | 量子XYZ鎖 / 量子XXZ鎖 / ドリンフェルト多項式 / ループ代数 / 準位縮退 / 縮退度 / ハバード模型 / 組み合わせ論的完全性 |
Research Abstract |
量子XXZ鎖の異方性変数ΔをΔ=(q+1/q)/2表す。変数qが1の冪根(2N乗根)のとき、XXZ鎖のハミルトニアンはsl(2)ループ代数の対称性を持つ。ここでXXZ鎖は周期的境界条件を満たす有限サイズの系である。ループ代数は無限個の生成演算子をもつ無限次元代数であり、XXZハミルトニアンを行列で表すと、これはループ代数の有限次元表現に対応する。 量子XXZ鎖の固有スペクトルにおいて、sl(2)ループ代数の対称性に対応する多数の準位縮退が出現する。これらの縮退固有空間はループ代数の既約表現の直和に分解される。一般に、sl(2)ループ代数の有限次元既約表現はドリンフェルト多項式と一対一に対応する。我々は、量子XXZ鎖のベーテ固有状態は全てsl(2)ループ代数の最高ウェイト状態であり、ベーテ固有状態と縮退固有空間が一対一で対応することを証明した。そして与えられたベーテ固有状態から導かれる縮退固有空間に対応するループ代数の既約表現のドリンフェルト多項式を、対応するベーテ仮説方程式の根を用いて表すことに成功した。この結果、与えられた準位縮退に対応するドリンフェルト多項式を求め、その縮退度を厳密に求めることができる。 量子XXZ鎖の準位縮退を表すドリンフェルト多項式を楕円関数にまで拡張すると、量子XYZ鎖の縮退固有空間を特徴付ける完全Nストリングを決定する関数公式が導かれる。これは平成14年度の研究で既に導かれていたが、量子XYZ鎖がループ代数の縮退を持つことを示唆する。 昨年度のAB磁場下でのXXZ鎖の研究に関連して、AB磁場下での1次元ハバード模型におけるベーテ仮説固有状態の完全性を指標公式の観点から組み合わせ論的に示した。AB磁場下ではババード模型のSO(4)対称性が失われ、このためベーテ仮説固有状態の数は増加する。しかし、予想される全ての状態の数を組み合わせ論的に足し合わせると、完全性を満たすことが分かった。この結果は、AB磁場下でのハバード模型の有限温度の物理量の計算に応用可能である。
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Research Products
(6 results)