2002 Fiscal Year Annual Research Report
アクティブセンサによる雲・エアロゾルの物理特性導出とそれらの相互作用の解明
Project/Area Number |
14702014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 創 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10333783)
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Keywords | 氷雲 / 水雲 / 非球形散乱 / 後方散乱 / 95GHzレーダ / ライダ |
Research Abstract |
本件球は、95GHz(波長3.16mm)という周波数帯を用いる新しい技術であるミリ波雲レーダと、可視光や赤外の波長を用いるライダという2つの全く異なる波長のアクティブセンサを組み合わせて、雲やエアロゾルを観測し、それらの微物理特性を導出する解析アルゴリズムを開発することを最初の目的としたした。さらに、現在地球温暖化の研究において最大の不確定性要素の1つである雲やエアロゾルの把握及びそれらの相互作用の解明、それらの気候システムにおいて果たす役割を解明することをその最終目標に掲げている。今年度は、雲レーダとライダの複合観測により、氷粒子の有効半径や氷水量といった微物理の鉛直分布を抽出するアルゴリズムを完成、論文発表を行った(Okamoto et al.2003)。ここでは、長年ライダ観測において問題となっていた、上層にいくほど、下層からの減衰の影響をどう補正するか、といった問題に取り組み、レーダとライダを組み合わせることで、この問題の解決に初めて成功した。氷粒子に関しては、非球形散乱をどう取り扱うかが大きな課題の一つである。ミリ波における散乱強度には、形の違いは2dB程度以内の違いしかないこと等を詳細な理論計算によって求め、論文発表を行った(Okamoto 2002)。また、低層に存在する水雲に関しても適応可能なアルゴリズムの開発を行った。特に水雲のライダデータの解析においては、光学的厚さが大きいことから、多重散乱の影響を無視できなくなるのだが、Backward monte carlo法(BMC)という計算を適用することで、数値的にこの効果を見積もった。エアロゾルに関しては、可視と赤外の2波長を用いたアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムの特徴は雲底下でもエアロゾルの微物理特性が導出できる点であり、この結果と、レダー/ライダを,用い雲の微物理特性結果とを解析することで、エアロゾルと雲の相互作用の解明につながる知見が得られる。この他、ライダ観測時におけるダイナミックレンジを大幅の増加させ、強い雲の信号とエアロゾルの信号を分離することが可能な改良(具体的には、トランジェントレコーダーのライダへの組み込み)を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Okamoto: "Information content of the 95-GHz cloud radar signals : Theoretical assessment of effects of nonsphericiry and error evalucation of the discrete dipole approximation"Journal of Geophysical Research. 107D22. 4-16 (2002)
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[Publications] H.Okamoto: "An algorithm for retrieval of cloud microphysics using 95-GHz cloud radar and lidar"Journal of Geophysical Research. 108(in press). (2003)
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[Publications] H.Kimura, H.Okamoto: "Radiation pressure and pointing-robertson effect for fluffy dust particles"ICARUS. 157. 349-361 (2002)
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[Publications] H.Okamoto: "Studies of clouds by shipborne 95GHz radar and lidar system during the Mirai cruises"Extended abstracts, 11th Conf. on Atmospheric Radiation, Ogden, Utah, Amer. Meteor. Soc.. J53-J56 (2002)
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[Publications] H.Okamoto: "Study of clouds by shipborne radar and lidar measurements during R-V Mirai MR-01-K02 cruise"Proc. of EarthCARE Workshop (second international workshop on space-borne cloud profiling radar) CRL/ARS REPORT. 02-02. 155-164 (2002)
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[Publications] T.Nishizawa, H.Okamoto: "Aerosol retrieval from shopborne lidar measurements during Mirai MR-01/K02 cruise"Proc. of EarthCARE Workshop (second international workshop on space-borne cloud profiling radar) CRL/ARS REPORT. 02-02. 85-92 (2002)