2002 Fiscal Year Annual Research Report
コアに吸収された大気圏形成主要元素定量の試み-地球表層環境を決定した大イベント
Project/Area Number |
14702016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋爪 光 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90252577)
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Keywords | 金属鉄コア / 珪酸塩メルト / 分配実験 / 水素 / 炭素 / 窒素 |
Research Abstract |
本研究では珪酸塩-金属鉄間のこれら3元素の分配実験を行うことによって大気形成元素の親鉄性を実証し、地球表層における大気形成主要元素(水素・炭素・窒素)の存在量がいかにして決まったのかを考察する。実験は3段階-(A)高温高圧分配実験(B)走査電子顕微鏡(SEM)と2次イオン質量分析計(SIMS)による試料の微小領域観察(C)ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)による水素・炭素・窒素の定量分析-からなる。本年度の進捗状況は以下の通りである。 (A)高温高圧分配実験については骨格となるプロジェクトをほぼ完成させた。分配値に与える次のような要素の影響を評価するために最高温度保持時間を変えたり(1),珪酸塩の組成を変えたり(2,3),系に与える炭素量を変えたり(4),圧力を変えた(5)実験を行い、13組の珪酸塩ガラス及び金属鉄の回収に成功した。その要素とは(1)系中のH, C, Nが分配平衡に到達していることの検証、(2)酸素活量及び(3)珪酸塩の組成((Fe, Mg, Ca)/Si)の分配値に与える影響、(4)金属鉄に溶解した炭素量の飽和がHやNの分配値に与える影響、(5)圧力(2-5GPa)の範囲内での圧力効果、などである。SEMで観察した結果、何れの試料においても均質なガラスと金属鉄が確認され、発泡の跡や急冷及び溶け残り結晶は認められなかった。 (B)回収された試料はSEM観察の後、目下SIMSによる元素・同位体分析を進めている。同位体分析を行うのは、始物質中のH, C, NがそれぞれD,^<13>C,^<15>Nが濃縮されたラベル試薬を用いているからである。特筆すべきは重水素の濃縮が回収されたすべての金属鉄において認められた点である。このことは従来難しいと言われてきた水素の金属鉄への急冷捕獲が成功したことを意味する。 (C)回収された試料のD,^<13>C,^<15>Nの絶対濃度を決めるためにGCMSを購入し、現在調整を進めている。D_2O,^<13>CO_2,^<15>N_2の形で各核種の濃度を決められる事を確認した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hashizume K., Marty B., Wieler R.: "Analyses of nitrogen and argon in single lunar grains: towards a quantification of the asteroidal contribution to planetary surfaces"Earth Planet. Sci. Lett.. 202. 201-216 (2002)
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[Publications] Hashizume K., Marty B.: "Nitrogen isotopic analyses at the sub-picomole level using an ultra-low blank laser extraction technique"In "Handbook of stable isotope analytical techniques". (印刷中). (2003)
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[Publications] Marty B., Hashizume K.Chaussidon, M., Wieler R.: "Nitrogen isotopes on the Moon : archives of the solar and planetary contributions to the inner solar system"Space Science Reviews. (印刷中). (2003)