2003 Fiscal Year Annual Research Report
歪みを内在したバンドギャップ分散半導体複合結晶の創製
Project/Area Number |
14702017
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇治原 徹 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60312641)
|
Keywords | 複合材料 / 半導体 / シリコン / SiC / ゲルマニウム / 太陽電池 / 歪み / 結晶成長 |
Research Abstract |
本研究では、異相粒子分散などの複合材料化により、半導体内部に歪み場を形成することで、バンドギヤップや電子移動度制御した「粒子分散型半導体複合結晶」なる材料を提案、その一例として、Si結晶にSiC粒子を分散させることで結晶中に異なるバンドギャップを分散させた「SiC粒子分散型Si基複合結晶」の試作を行なった。初年度においては、バルク結晶、薄膜結晶において、Siマトリクスにcubic型SiCが分散させ、分散粒子周辺のSi母相に圧縮歪みが生じていることを確認し、また光吸収の波長依存性も変化することを確かめた。本年度は、太陽電池の試作を目指し、太陽電池用多結晶シリコンの作製法で最も一般的な方法であるキャスト法により、SiC分散Si多結晶の成長を試みた。その結果、以下の知見を得た。 ・高純度炭素坩堝中でシリコン融液に炭素を飽和させ、結晶成長を行うことで、SiC析出Si結晶が得られた。 ・結晶中の炭素含肴量は、結晶成長条件にあまり依存せず、むしろ、結晶中の酸素の含有量と逆比例の関係にあることがわかった。したがって、炭素量制御には、結晶中の酸素量制御によって行うことが有効である。 ・炭素の含有量が増加するに従って、キャリアライフタイムが減少した。また、本材料を用いて太陽電池を試作したところ、長波長側の感度が著しく減少することがわかった。結果的に、変換効率も低下した。 ・一方、炭素の量が一定であっても、酸素量の変化によりライフタイムの増加が見られた。 SiCによる歪み分散構造の作製には成功したが、残念ながら太陽電池特性の向上には成功しなかった。その主な原因は、SiC粒子周辺の転位などの結晶性の問題、SiCと母相のドーピング制御の問題などが考えられ、今後これらの解決が必要となる。また、酸素量とのバランスによる特性改善の可能性もある。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] N.Usami, Ichitsubo, T.Ujihara, T.Takahashi, K.Fujiwara, G.Sazaki, K.Nakajima: "Influence of the elastic strain on the band structure of ellipsoidal SiGe coherently embedded in Si matrix"J.Appl.Phys.. 94. 916-920 (2003)
-
[Publications] A.Alguno, N.Usami, T.Ujihara, K.Fujiwara, G.Sazaki, Y.Shiraki, K.Nakajima: "Enhanced quantum efficiency of solar cell with self-assembled Ge dots in multilayer structure"Appl.Phys.Lett. 83. 1258-1260 (2003)
-
[Publications] T.Ujihara, K.Obara, N.Usami, K.Fujiwara, G.Sazaki, T.Shishido, K.Nakajima: "Effects of growth temperature on the surface morphology of silicon thin-film on (111) silicon monocrystalline substrate grown by liquid phase epitaxy"J.Crystal Growth. (In press). (2004)