2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14702020
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
城田 幸一郎 理化学研究所, ナノフォトニクス研究室, 先任研究員 (00291071)
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Keywords | 液晶 / フォトニック結晶 / レーザー発振 |
Research Abstract |
液晶のフォトニック構造を利用したレーザーを開発するために、平成14年度はキラルネマチック(N*)(コレステリック)液晶にレーザー色素を混合した系を中心に、基礎的な測定を行い、レーザー発振の確認、を行った。 1.スペクトル測定 数種類のN^*液晶の選択反射帯をシフトさせた試料を調製した。それらにDCM,ローダミン6G等のレーザー色素をドープし、厚さ25μmのセルに注入したものを実験に用いた。DCMは他のレーザー色素に比べ液晶への溶解性が優れていたため、DCMをφ.5wt%程度添加したサンプルを中心に実験を行った。DCMの蛍光スペクトルのピークは610mm程度であったので、選択反射帯の長波長側のバンド端をこれに合わせることにした。 2.ナノ秒レーザー励起によるレーザー発振の確認 パルス幅約7nsのダイオード励起YLFレーザーの基本光(1047nm)をLBO結晶でダブリングし(523.5nm)、励起光とした繰り返し周波数は3kHz、最大パルスエネルギーは、1μJである。上記1で、作製したセルに523.5nm光を照射して、光強度を増すと、ある閾値をもって、鋭いレーザー発振が見られることが確認できた。レーザー発振は準備した全ての試料で起きたが、レーザー発振の安定性は液晶の種類により異なることが分かった。また、再生増幅器励起用YLFレーザー(H14年度購入主要設備、パルス幅150ns)でセルを励起した場合には、レーザー発振が確認できなかった。これはレーザー発振を引き起こすためには、十分な尖塔値が必要であることと、熱的な擾乱により試料の周期構造が乱されるためと考えられる。 3.フェムト秒レーザー励起によるレーザー発振の確認 再生増幅器の出力を光パラメトリック増幅器に導き、波長540nmパルス幅140fsのパルスを得た。これでセルを励起すると、閾値0.4μJ程度でレーザー発振が起きた。ナノ秒の場合に比べて、低閾値でレーザー発振が起こり、発振の安定性も遥かに優れていることが確認できた。現在はこのシステムでデータを蓄積しており、論文投稿の準備を進めている。
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