2002 Fiscal Year Annual Research Report
LFJと木ダボのハイブリッドを用いた解体・再利用が容易な集成材接合部の開発
Project/Area Number |
14702045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 拓郎 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (00335225)
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Keywords | ラージフィンガージョイント / 集成材 / 木ダボ / フィンガージョイント / 接合部 / 接着接合 / 横引張 / ラジアルストレス |
Research Abstract |
1.当初考えていた木ダボに関する実験を行うために、木ダボ作製記を購入し、これを用いてダボに関する接着実験を行った。ダボ自体の曲げ応力は集成材のそれに比べて強く、うまく接着ができることによって補強が可能であることがわかった。また、繊維直角方向に対する集成材の横引張に対する補強性能を確認するため、集成材の横引張および集成材自体の軸方向引張実験を行った。軸方向引張については、現在考えられている集成材の曲げの理論を元に引張強度を推定することが可能であることがわかった。また、ヤング係数については、曲げのヤング係数と引張のヤング係数では若干の違いがあるのではないかとの結論も得た。そして、横引張の強度については、実験結果より従来言われていた様々な値のうちから、約1MPaが妥当ではないかとの結論に達した。木ダボによって補強したものについて横引張実験を行ったが、補強しているため、実験が難しく、補強の効果について確信的な値を得るには至らなかった。しかし、明らかにラジアルストレスに対する補強の効果があり、剛性および強度に大きく寄与することは明らかにできた。 2.LFJについてノーマル型、従来行われてきた鉄製のボルト補強型、木ダボ補強型TypeA、TypeBの実験を行った。この木ダボ補強タイプについては、TypeAはLFJ部に対して直角に、TypeBはLFJ部に対して平行に木ダボを挿入している。これらのタイプについて試験結果を比較したところ、当初から強いとされていた閉じる方向の加力については大きな差が見られないことがわかった。しかし、開く方向の加力については、ボルト補強型と木ダボ補強型TypeAは耐力、靭性等で大きな差がないことがわかった。ただし、他の補強についても言えるが、接着剤を使っている木ダボについてはその管理が重要であることがわかった。木ダボ補強型TypeBについては、耐力については向上が見られなかったが、靭性について大きな向上が見られた。そのため、この二つのダボ補強が有効であることがわかった。その特性を活かすことができるような木ダボの挿入方法について検討を進めていくことにより、来年度混合型の補強タイプを考える予定である。また、その補強を用いた門型の試験体についてフレーム解析を行う。
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[Publications] 野田康信, 小松幸平, 森拓郎, 川原重明: "集成材コーナー接合部の耐力性能向上を目的としたLarge Finger Jointの改良"第52回日本木材学会大会研究発表要旨集. 208 (2003)
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[Publications] 森拓郎, 小松幸平, 野田康信, 原田浩司, 渡辺公昭: "異樹種集成材の引張強度に関する実験的研究"第52回日本木材学会大会研究発表要旨集. 197 (2002)
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[Publications] 野田康信, 森拓郎, 小松幸平, 瀧野眞二郎: "ボルト挿入型Large Finger Jointの強度特性に関する実験研究"2002年度日本建築学会大会学術講演梗概集. C-1. 69-70 (2002)
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[Publications] 森拓郎, 小松幸平, 瀧野眞二郎, 野田康信: "Large Finger Jointと木ダボのハイブリッド接合への可能性について"第20回加工技術学会年次大会研究発表要旨集. 36-37 (2002)