2002 Fiscal Year Annual Research Report
メタ磁性転移を利用した巨大磁気冷凍効果作動物質の開発
Project/Area Number |
14702050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 麻哉 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10323073)
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Keywords | 磁気熱量効果 / 磁気冷凍 / 遍歴電子メタ磁性転移 |
Research Abstract |
本研究では、遍歴電子メタ磁性転移に伴う巨大エントロピー変化および断熱温度変化を利用して、室温から100K付近まで永久磁石で駆動可能な磁気冷凍作業物質を開発することを目的とする。対象とする遍歴電子メタ磁性化合物はLa (Fe_xSi_<1-x>)_<13>であり、本化合物はT_cの直上においてメタ磁性転移を弱磁場でも生じるため、永久磁石で発生可能な2T程度の磁場変化により、6〜7K程度の断熱温度変化を生じる。本年度はLa (Fe_xSi_<1-x>)_<13>化合物のなかで、作製方法が確立し、メタ磁性転移が明瞭に現れるx=0.88を対象とし、以下の点について考察を行った。 1.室温近傍での磁気冷凍作業物質の応用可能性 本化合物は、体積変化に応じてキュリー温度が敏感に変化する。従って、水素吸収により結晶格子を強制的に膨張させることで遍歴電子メタ磁性転移を保ったままキュリー温度が上昇する。水素濃度を試料中で均質に制御することで、キュリー温度を任意の温度域に設定し明瞭なメタ磁性転移が得られるので、水素吸収方法の探索を行った。密閉水素雰囲気炉中での熱処理により目的を達成できることが明らかになったが、今後さらに、試料分量を増加させた場合の水素吸収条件を引き続き探索する。 2.低温域での磁気冷凍作業物質の応用可能性 上記と同様に、キュリー温度を低下させても遍歴電子メタ磁性転移が出現すれぱ、本化合物を用いて低温までの冷凍が可能となる。本年度はLa (Fe_xSi_<1-x>)_<13>化合物のSiサイトおよびLaサイトを置換により転移温度の低下が可能であることを見出した。本年度購入したPPMS連続低温デゥワーを用い、低温域での磁気熱量効果出現を確認した。
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Research Products
(1 results)