2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14702059
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 正人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (30242845)
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Keywords | 木質細胞壁 / 二次壁肥厚 / SEM免疫標識法 / グルコマンナン / キシラン / 膨圧 / 細胞壁形成 |
Research Abstract |
以前の研究によって、樹木の分化中仮道管の二次壁新生面において、明期にはセルロースミクロフィブリルが明確に観察され、暗期にはセルロースミクロフィブリルを覆うグルコマンナンを含む無定形物質が観察されること、を明らかにしてきた。本課題研究の昨年度では、新たにキシランの抗体を作成し、オスミウム-白金ハイブリッドコートでSEM免疫金標識法を改善した。 本年度の研究成果をまとめる。 1.明期と暗期の二次壁新生面における抗キシラン標識した結果は、暗期に多く観察される無定形物質に多く標識され、明期に明瞭に観察されるセルロースミクロフィブリルには標識はほとんどなかった。この結果は抗グルコマンナン標識の場合と同様であった。無定形物質がキシランも含むことが明らかになった。作成した両抗体は反応性が違いことから、無定形物質に含まれるグルコマンナンとキシランの量や比率を論じるまでには至らなかった。 2.人工気象室で明期から暗期へ矩形的に切り替えたときは、二次壁新生面では3時間かけて徐々に無定形物質が多く観察されるようになり、暗期から明期へ切り替えたときは、3時間かけて徐々にセルロースミクロフィブリルが明瞭に観察されるようになった。また、抗グルコマンナンと抗キシランの標識密度の増加・減少もこの結果と一致していた。 3.ずっと明期の状態でも吸水量を調節することで、樹体内の膨圧の高低を作り出す条件を見いだした。膨圧の高いときも低いときもセルロースミクロフィブリルが明瞭に観察され、無定形物質は観察されなかったが、自然よりもかなり低い膨圧状態での膨圧変動で生育した場合の結果であるため、来年度も壁成分堆積と膨圧・光周期について検討が必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hosoo, Y., Yoshida, M., Imai, T., Okuyama, T.: "Diurnal differences in the innermost surface of the S_2 layer in differentiating tracheids of Cryptomeria japonica corresponding to a light-dark cycle"Holzforschung. 57(6). 567-573 (2003)
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[Publications] 吉由 正人: "木質の形成 バイオマス科学への招待(編集 福島和彦、船田 良、杉山淳司、高部圭司、梅澤俊明、山本浩之)"382 (2003)