2003 Fiscal Year Annual Research Report
ボウル型およびデンドリマー型構造をもつ新規なナノスケール配位子の開発と応用
Project/Area Number |
14703006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (70262144)
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Keywords | デンドリマー / シラノラト配位子 / m-テルフェニル / ジルコニウム錯体 / エチレン重合 / シリカゲル / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
反応活性な配位不飽和金属錯体を生成させるための代表的な手法として、かさ高い配位子を用いて配位子の数を制限するとともに金属の低会合状態を保持する方法がある。しかし、従来のかさ高い配位子を用いた場合、金属中心を低配位状態に置くことはできるものの、金属周辺の立体混雑のために逆に基質の配位を妨げ、反応性を低下させてしまうという本質的な問題があった。そこで本研究では、金属中心の周辺には空間を保持しつつ、分子全体の構造によって低配位状態を実現するようなボウル型およびデンドリマー型配位子の開発について検討した。m-テルフェニルユニットを有するデンドリマー型シラノールとして、トリス(2,2",6,6"-テトラメチル-1,1':3',1"-テルフェニル-5'-イル)シラノール(TRMSOH)を開発した。合成は、対応するm-テルフェニルブロミドのリチオ化体に四塩化ケイ素を作用させたのち、生成するクロロシランを加水分解することにより行った。このシラノールは、シリカゲル表面上に存在する孤立したシラノールユニットの均一系モデルとして応用可能と期待される。そこでTRMSOHとテトラベンジルジルコニウムとの反応を行ったところ、対応するビス(シラノテト)ジベンジル錯体を安定に単離することに成功した。この種の錯体は、シリカゲル上での触媒反応における重要な中間体と想定されているものの、従来のかさ高いシラノールを用いては合成が困難であった。得られた錯体に補助配位子を加えることにより、X線結晶構造解析にも成功し、二つのシラノラト配位子がtrans位に配置する特異な構造をもつことを明らかにした。この錯体のエチレン重合活性評価を行ったところ、モデル系として十分な活性を示した。これらの結果から、デンドリマー型配位子を活用することにより、基質との反応性を保持しつつ配位子の数を効果的に制御できることが実証された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Goto: "Reaction of Stable Sulfenic and Selenenic Acids Containing a Bowl-type Steric Protection Group with a Phosphine. Elucidation of the Mechanism of Reduction of Sulfenic and Selenenic Acids"Chem.Lett.. 32・11. 1080-1081 (2003)
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[Publications] K.Goto: "Syntheses and Structural Characterizations of a Novel Bowl-type Germanol and its Derivatives"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 76・12. 2389-2394 (2003)
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[Publications] Y.Ohzu: "A Novel Bowl-shaped Triarylphosphane with a large Cone Angle : Synthesis and Crystallographic Analysis of the First [(PdX_2)_3(PR_3)_2]-type Complex]"Angew.Chem., Int.Ed.. 42・46. 5714-5717 (2003)