2003 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルス光を用いたコヒーレント振動励起による固体表面反応の研究
Project/Area Number |
14703009
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
渡邊 一也 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助手 (30300718)
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Keywords | 振動コヒーレンス / 表面第2高調波 / 超短パルスレーザー / セシウム / 白金 / カリウム |
Research Abstract |
本研究では、本研究では、超短パルスレーザー光を用いて、固体表面上の振動コヒーレンスを誘起し、その表面化学反応への影響を調べることを目的としている。本年度は以下に挙げる成果を得た。 1)非同軸パラメトリック増幅器による時間分解第2高調波測定システムの構築と固体表面の振動コヒーレンス観測への応用 パルス幅約25フェムト秒、可視領域で波長可変かつ高強度(パルス強度約5μJ)のレーザー光源を新たに構築し、これを用いた時間分解第2高調波測定システムを構築した。昨年度の研究により一定の成果が得られている、白金(111)表面上に吸着したセシウム単原子層にこれを適用し、約25フェムト秒の時間分解能で、振動コヒーレンスの観測を行った。その結果これまで150フェムト秒のパルスを用いた計測ではあいまいだった振動の初期位相を決定することができ、励起メカニズムについて知見を得た。また、白金(111)表面上のカリウム原子についてもこの手法を適用し、より高い振動数(5THz)の振動モードの観測が可能であることを示した。 2)液晶変調素子を用いたパルス波形変調と表面振動の制御 液晶空間変調素子を用いて、150フェムト秒の単一パルスを2THzから3THzの周期をもつパルス列に変換し、これを用いて白金(111)表面上に吸着したセシウムの振動コヒーレンスを観測した。パルス列の周期をセシウム-白金振動あるいは白金表面フォノンの振動数に一致させることにより、どちらかのモードのコヒーレンスを選択的に誘起できることを示した。これまでは両者を同時に励起することしかできなかったが、表面での反応制御に近づく重要な成果である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuya WATANABE: "Direct time-domain observation of ultrafast dephasing in adsorbate-substrate vibration under the influence of a hot electron bath : Cs adatoms on Pt(111)"Physical Review Letters. 92. 057401 (2004)
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[Publications] Daisuke INO: "Ultrafast excited state dynamics in PTCDA thin film"Chemical Physics Letters. 383. 261-265 (2004)