2003 Fiscal Year Annual Research Report
多金属中心を活性部位とする分子触媒開発への新アプローチ
Project/Area Number |
14703011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 正治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00282723)
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Keywords | 分子触媒 / 有機合成反応 / 炭素-炭素結合形成 / 複合金属触媒系 / 有機亜鉛 / 有機インジウム / 有機鉄触媒 / 量子化学計算 |
Research Abstract |
本研究では多金属中心型の分子触媒のデザインと創製を通じて,新た分子変換反応の開発を目指している.従来の単一金属中心型触媒では,活性中心が限られた種類の遷移金属元素であるのに対し,多金属中心型の分子触媒では,それらの金属元素の無限に近い組み合わせから更に多様な反応性の発現が期待できる.本年度は具体的な反応として,カルボニル化合物の単純オレフィンへの付加という新たな炭素-炭素結合生成反応の実現に向けて研究を行うと同時に,新規の鉄触媒反応の探索を行った. 前年までに単純オレフィンの付加反応に関して,窒素上にアミノアルコール由来の不斉補助基を有する光学活性な亜鉛エナミンを発生させることで,エチレンのような単純アルケンへの付加反応が立体選択的に進行することを見出した(J.Am.Chem.Soc.誌掲載).この反応の理論解析を基にインジウムを触媒とした活性メチレン化合物の単純アルキン類への付加反応という新反応を見いだした.アルキン類は有機化学における基本的な出発原料であるが,これまで効率的な触媒的炭素-炭素結合生成反応は存在せず,本反応は極めてユニークなものである(J.Am.Chem.Soc.誌掲載).これらとは別に,複合金属系の探索の中で有機マグネシウム試薬とハロゲン化アルキルとのカップリング反応が鉄を触媒として,高収率で進行することを見出した(J.Am.Chem.Soc.誌掲載).本反応は,マグネシウムと鉄から成る多金属中心触媒系のモデル反応でも有り、次年度以降の理論計算によるシミュレーションの対象とする予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Nakamura, et al.: "Enantioselective Synthesis of α-Substituted Ketones by Asymmetric Addition of Chiral Zinc Enamides to 1-Alkenes"The Journal of American Chemical Society(米国化学会誌). 125. 6362-6363 (2003)
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[Publications] M.Nakamura, et al.: "Indium-Catalyzed Addition of Active Methylene Compounds to 1-Alkynes"The Journal of American Chemical Society(米国化学会誌). 125. 13002-13003 (2003)
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[Publications] M.Nakamura, et al.: "Iron-Catalized Cross-Coupling of Primary and Secondary Alkylhalide with Aryl Grignard Reagents"The Journal of American Chemical Society(米国化学会誌). 126(印刷中). (2004)
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[Publications] M.Nakamura, et al.: "Synthesis and [3+2] Cycloaddition of 2,2-Dialkoxy-1-methylenecyclopropane : 6,6-Dimethyl-1-methylene-4,8-dioxaspiro[2.5]octane"Organic Syntheses. 80. 144-159 (2003)
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[Publications] 中村正治, 中村栄一: "第5版 実験化学講座 有機金属錯体 有機銅錯体分担"丸善(印刷中). (2004)