低温度再生を可能とする吸着熱同時除去型除湿ローターを用いたデシカント冷房プロセス

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14703018
• Research Institution: Kanazawa University
• Principal Investigator: 児玉 昭雄 金沢大学, 工学部, 助教授 (30274690)
• Keywords: デシカント / 冷房 / 吸着 / 熱交換 / 除湿 / 省エネルギー / 排熱 / 空調

Research Abstract

今年度は基礎データの取得および熱交換型吸着剤ローターの試作を行った。研究成果は以下の通りである。
1.同時熱交換型吸着剤の特性評価・改善 原料および冷却空気風速を0.5m/sとし、半サイクル時間を50-600秒、再生温度を60-80℃、再生用温水流量を2.5-4.5L/minの間でそれぞれ変化させ、熱交換型除湿ブロックの吸着側出口の空気湿度・温度の経時変化を測定した。ここで加熱空気に代えて温水による直接再生も試みた。
(1)半サイクル時間の影響 より短い半サイクル時間での吸着操作の可能性を探るために吸着出口空気湿度の経時変化を測定した。半サイクル時間が300秒の場合、再生が不完全ではあるが、吸着過程も300秒間と短く、処理空気に対して十分な吸着容量を持つために吸着過程において低湿度空気を継続して得ることができた。また、外気湿度によりサイクル時間を変化することで効率的に低湿度の空気が得られることが予測できた。
(2)再生温度の影響 再生温度が60℃の場合には再生過程時に除湿ブロックの再生が十分でないため、吸着過程後半に吸着破過に伴う除湿性能の低下が見られた。再生温度が高いほど除湿性能は高いが、外気湿度によっては70℃再生でも十分な効果が得られ、また、再生温度が高い場合には再生過程途中で吸着剤再生がほぼ完了することから、吸着時間と再生時間を同一としなくとも高い除湿性能が発揮できることがわかった。
(3)温水流量の影響 様々な再生用温水流量における吸着出口空気の湿度の経時変化を測定した。除湿性能は温水流量が2.5L/minの場合に低下したが、3.5L/min、4.5L/minの場合にはほぼ同じ除湿能力と吸着挙動を示した。これより温水供給流量に最適値が存在することが示されたが、入口湿度との相関が検討課題として残った。
2.熱交換型除湿ローターの試作と評価・改良 上記評価実験データに基づき直径30cmの熱交換型除湿ローターを設計し、試作を行った。現在、吸着ゾーンと再生ゾーンからなる基本的な流路構成について、様々な吸着側給気流速、熱交換側流速、外気湿度、外気温度および再生温度のもとでの運転挙動を検討中であるが、これまでの実験で従来型では得られない低湿度空気の製造を確認できた。除湿ローターの改良については次年度に検討。
3.熱交換型除湿機の操作指針の構築 数値シミュレーションを併用して吸着・冷却・再生・予熱面積比と流路構成を決定するために熱交換型除湿機の数学モデルを構築したが、物質移動係数をフィッティングパラメーターとしないために、その算出方法を再検討中である。

Research Products

• [Publications] A.Kodama, K.Andou, M.Ohkura, M.Goto, T.Hirose: "Process Configurations and their Performance Estimation of Adsorptive Desiccant Cooling Cycle for the Use in a Damp Climate"J. Chem. Eng. Japan. (印刷中). (2003)
• [Publications] 安藤幸助, 児玉昭雄, 後藤元信, 廣瀬 勉, 岡野浩志: "多段除湿型デシカント空調プロセスの性能"Energy(化学工学会エネルギー部会論文集). 2・1. 25-28 (2002)
• [Publications] 大蔵将史, 児玉昭雄, 後藤元信, 廣瀬 勉, 岡野浩志: "太陽熱駆動デシカント空調機の性能とエネルギー利用効率"Energy(化学工学会エネルギー部会論文集). 2・1. 29-32 (2002)
• [Publications] A.Kodama, M.Goto, T.Hirose, Hiroshi Okano: "A Cross-Flow Type Heat Exchangeable Honeycomb Adsorber for Dehumidification/Cooling"Proceedings of the 6th International Symposium on Separation Technology. 545-548 (2002)
• [Publications] A.Kodama, K.Andou, M.Goto, T.Hirose: "Performance of an Adsorptive Desiccant Cooling Process equipped with a Double Stage Dehumidification"Proceedings of the 7th International Sorption Heat Pump Conference. 425-430 (2002)