2002 Fiscal Year Annual Research Report
水中不均一反応場での加速現象を利用した超高効率反応の開発
Project/Area Number |
14703026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 京都大学, 工学研究科, 助手 (50281100)
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Keywords | 水中反応 / 不均一反応 / 反応加速 / 遷移金属触媒 / トリエチルボラン / ラジカル反応 / 空気酸化 / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
1.パラジウム触媒を用いるブロモトリクロロメタンのオレフィンへのラジカル付加反応は有機溶媒中(ベンゼン)では100℃程度に加熱する必要があることが知られている。このラジカル付加反応について水中不均一反応場で反応を行うことによる反応促進効果が現れないかどうか検討した。その結果、水中不均一反応場で反応を行うと、加熱する必要がなく、室温で反応が効率良く進行することが明かとなった。また、ヨウ化ペルフルオロアルキルのアセチレンへのラジカル付加反応も水中不均一反応場で効率良く進行することを見いだした。この方法により生成したヨードアルケンは単離生成することなく、その後のクロスカップリング反応に用いることができる。このことを利用し、パラジウム触媒をラジカル反応とクロスカップリング反応の両方の触媒として用いる高効率複合プロセスを開発することができた。 2.ケイ素-炭素結合を過酸化水素により酸化的に切断しアルコールヘと変換する玉尾酸化は、有機ケイ素化合物の基本的かつ有用な変換反応のひとつである。これに対して、本研究では有機ケイ素化合物を水中不均一反応系において空気によって酸化することを実現するべく研究を行った。その結果、1-シリル-1-ヨードアルカンから発生させたシリル置換炭素ラジカルを空気酸化することでアルデヒドが収率良く得られることを見い出した。さらに、ビニルシランへのアルキルラジカルの付加反応と空気酸化を組み合わせることで一挙にケトンを合成できることを明らかにした。この反応では溶媒としては水が最適であり、空気下で水中不均一反応場で反応を行うことにより効率良く炭素-炭素結合生成反応と空気酸化を連続的に行うことに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Junichi Kondo: "From Alkenylsilanes to Ketones with Air as the Oxidant"Angew. Chem., Int. Ed.. 42・7. 825-827 (2003)
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[Publications] Atsushi Inoue: "Oxidative Heck-Type Reaction involving Cleavage of a Carbon-Phosphorus Bond of Arylphosohonic Acids"J. Am. Chem. Soc.. 125・6. 1484-1485 (2003)
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[Publications] Dai Motoda: "A Room Temperature Kharasch Reaction Catalyzed by Pd(O) in a Heterogeneous Aqueous System"Advanced Synthesis and Catalysis. 344・3,4. 261-265 (2002)
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[Publications] Dai Motoda: "Efficient Pd(O)-Catalyzed Hydrosilylation of Alkynes with Triorganosilanes"Synlett. 9. 1529-1531 (2002)
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[Publications] Hidenon Kinoshita: "Pd(O)-Catalyzed Reaction of Alkynes with Trifurylgermane and CO Providing Acylgermanes : Hydrometalcarbonylation of Alkynes"J. Am. Chem. Soc.. 124・16. 4220-4221 (2002)
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[Publications] Shin-ichi Usugi: "Triethylborane-Induced Radical Reaction of Alkynylgallium with a-Halo Carbonyl Compounds"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 75・12. 2687-2690 (2002)