2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子・遺伝子キャリアー複合体の細胞内でのトラフィックコントロール
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14703033
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
新留 琢郎 長崎大学, 工学部, 助手 (20264210)
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Keywords | 遺伝子治療 / 遺伝子キャリアー / 細胞内局在 / デンドリマー |
Research Abstract |
細胞内へ遺伝子を送達する手法に関する技術開発はポストゲノムにおける未知遺伝子の機能解析のためのツールとなるばかりではなく、難治疾患を克服できると期待されている遺伝子治療をより現実的なものにするための重要な技術でもある。細胞内へ送達する遺伝子キャリアー分子はDNAと複合体を形成し、細胞内へ取り込まれるが、その多くがエンドソームを経た細胞内分解システムへ流れていき、さらに、幸運にも細胞質へ脱出できた複合体も核へ移行できる確率は低く、したがって、細胞内でのエンドソームから細胞質への移行、複合体の解離、そして、核への局在についてそれぞれのステップの効率を向上させることにより、実用レベルに達するような遺伝子キャリアー分子ができると期待される。 本年度はまずエンドソーム膜を選択的に破壊するペプチドを設計し、その効果を調べた。その結果、K-LAEL-LAEL-LAELという13残基のペプチドがエンドソーム内と同じ弱酸性条件下でのみ膜破壊作用を示し、さらに、培養細胞を対象にしたトランスフェクション実験においてその効率を10倍以上向上させた。また、このような酸性のペプチドは精製が困難であることが知られていたが、アミノ末端にリジン残基を加えることにより、この問題点も解決できた。 細胞質内での複合体解離について、DNA-遺伝子キャリアー分子複合体がどこのステップで起こっているのか未だはっきりとした知見は一般的に得られていない。そこで、DNA-遺伝子キャリアー分子複合体に培養細胞あるいは肝臓から分画した細胞質画分を試験官内で混合し、細胞質に含まれる成分がその複合体を解離させるかどうか検討した。その結果、細胞質を加えることによりDNA複合体は解離することがわかり、細胞質内で人為的に解離させるような分子設計は必要ないといえる。むしろ、核への積極的な移行が重要なステップであろう。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] T.Okuda et al.: "Time-Dependent Complex Formation of Dendritic Poly(L-lysine) with Plasmid DNA and Correlation with in vitro Transfection Efficiencies"Organic & Biomolecular Chemistry. (印刷中).
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[Publications] K.Yahiriro et al.: "Protein Tyrosine Phosphatase α, RPTPα, is a Helicobacter pylon VacA Receptor"J.Biol.Chem.. (印刷中).
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[Publications] Y.Koyama et al.: "Novel Poly(ethylene glycol) Derivatives Having Carboxylic Acid Pendant Groups : Syntheses and Their Enhancing Effect on Non-viral Gene Transfection Systems"J.Biomaterials Science : Polymer Edition. (印刷中).
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[Publications] A.Yasuhiro et al.: "Artificial Viruses and Their Application to Gene Delivery. Size-Controlled Gene Coating with Glycocluster Nanoparticles"J.Am.Chem.Soc.. (印刷中).
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[Publications] X.Yuan et al.: "Lipid-Mediated Delivery of Peptide Nucleic Acids to Pulmonary Endothelium"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 302. 6-11 (2003)
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[Publications] T.Niidome, L.Huang: "Gene Therapy Progress and Prospects ; Non-viral Vectors"Gene Therapy. 9. 1647-1652 (2002)
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[Publications] M.Ohsaki et al.: "In Vitro Gene Transfection Using Dendritic Poly(L-Lysine)"Bioconjugate Chem.. 13. 510-517 (2002)
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[Publications] Y.Mukai et al.: "Parallel and Antiparallel Dimers of Magainin 2 : Their Interaction with Phospholipid Membrane and Antibacterial Activity"J.Peptide Sci.. 8. 570-577 (2002)
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[Publications] 新留琢郎(共著): "化学のフロンティア、生命化学のニューセントラルドグマ"化学同人. 10 (2002)