2003 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴの白化現象と海水中に光化学的に生成するヒドロキシルラジカルの関係
Project/Area Number |
14703036
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 雄光 琉球大学, 理学部, 助手 (80343375)
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Keywords | サンゴ / 白化現象 / ヒドロキシルラジカル / 活性酸素 / 光化学反応 / 沖縄 / 海水温度 / 代謝 |
Research Abstract |
研究二年目の本年度は、沖縄島沿岸で採取した海水中に光化学的に生成する活性酸素種(過酸化水素とOHラジカル)およびOHラジカル生成に重要な役割を果たすFe(II)について研究を行った。また、昨年度開発した連続流水混合実験システムを用いて、サンゴの代謝量について研究を行った。 沖縄島周辺の海水中に光化学反応で生成する活性酸素種について研究した結果、海水中でのOHラジカル生成には、過酸化水素とFe(II)の反応(フェントン反応)が重要であることがわかった。特に、沖縄島沿岸でも赤土や生活廃水の流出の見られる海域で、OHラジカルや過酸化水素の生成が速い結果が得られた。 連続流水混合実験システムを用いたサンゴの代謝に関する研究では、新鮮海水を供給する流速がサンゴの代謝に及ぼす影響を調べた。その結果、新鮮海水の流速はサンゴの代謝に大きな影響を及ぼさないことがわかった。しかし、流速が遅くなりすぎると、海水のpHが大きく下がり、サンゴの骨格である炭酸カルシウムが物理化学的に溶解してしまう可能性が示唆された。また、海水温度の影響を調べる実験より、サンゴの代謝は、海水温度が29℃から31℃に上がった時点で大きく変わることが明らかになった。特に、サンゴの呼吸量が増加したことと、アンモニア代謝量が増加したことは顕著であった。 今後、さらに、連続流水混合実験システムを使って、海水温度の変化によるサンゴの代謝量変化およびサンゴの代謝物質から生成されるOHラジカルについての研究を進める。
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