Research Abstract |
平成14年度は,本研究計画の初年度にあたるため,まずシャコガイの飼育実験に必要な光量子センサー,塩分・水温センサー,誘導起電式塩分計をはじめとする機器・消耗品を購入した.また,さまざまな海域の日射量年変化パターンの検討結果および飼育実験が可能と考えられる国内外施設との交渉の結果,沖縄県石垣島の沖縄県水産試験場八重山支場とニューカレドニアのIRD (Institut de recherche pour le developpement)およびAquarium de Noumeaと共同実験を行うことになった.石垣島では,14年夏からシャコガイ(シャゴウ4個体,ヒレジャコ4個体,ヒレナシジャコ4個体,ヒメジャコ4個体)を水産試験場内の水槽で飼育し,水槽内の塩分・水温を20分毎に,光量子フラックスを10分毎に計測し,週に1回の割合で水槽内の海水(塩分補正用,酸素同位体比測定用,溶存無機炭素の炭素同位体比測定用,金属元素濃度測定用)を採取している.また,11月には,これらセンサーのメンテナンスおよびデータの回収を行った.ニューカレドニアのIRDとは,14年夏ごろから飼育実験に関する交渉を行った.その結果,Aquarium de Noumeaに水槽を設置し,石垣島で行っているようなシャコガイの飼育実験を行うこととなったが,現地研究者との日程調整がつかず,15年4月中旬以降に現地を訪れ,実験を開始する事となった.また,研究海域の候補地であったパラオでは,現地研究機関の協力が得られなかった.現在,候補地の再選定を行っており,15年初夏までには第3海域での実験を開始する予定である.さらに本年度は,現有の現生シャコガイ殻を用いて,成長線解析のための予備実験を開始した.現在までのところ,EDTA溶液を用いたエッチングを適度に施すことにより,シャコガイ殻の成長線が電子顕微鏡下で明瞭に観察できることがわかった.
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