2003 Fiscal Year Annual Research Report
保温保圧型生物捕獲装置の開発と深海多細胞生物由来細胞株樹立に向けての研究
Project/Area Number |
14704007
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小山 純弘 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物フロンティア研究システム, 研究員 (50344297)
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Keywords | 深海多細胞生物 / Deep Aquarium System / 深海魚 / コンゴウアナゴ / 初代培養 / 深海魚由来細胞株 / 凍結保存 |
Research Abstract |
昨年度開発に成功した保温保圧型深海生物捕獲飼育装置Deep Aquarium Systemを用い、深海生物の捕獲および組織培養を試みた。Deep Aquarium Systemによって水深1,162mから捕獲回収した深海魚コンゴウアナゴ(Simenchelys parasiticus)を、長期間かけて大気圧条件まで減圧後、組織培養の可能性について検討した。その結果、深海魚コンゴウアナゴのヒレ組織を大気圧条件下で初めて細胞増殖させる事に成功した。そして、継代培養後、凍結保存に成功した。 【方法】 しんかい2000にDeep Aquarium Systemを搭載し、相模湾初島南東沖の水深1,162mよりコンゴウアナゴを捕獲回収後、船上で5日間下船時まで減圧しながら飼育し、大気圧条件まで戻した。20mg/Lの魚病薬エルバージュを含むアクリル水槽に移し24時間コンゴウアナゴを薬浴した後、コンゴウアナゴの胸びれ部分を切り取り、5000units/mLペニシリン、5000μg/mLストレプトマイシン、2.5μg/mLファンギゾンを含む4℃人工海水に組織切片を浸すことで、15分間滅菌した。滅菌後、コンゴウアナゴ胸びれ組織を1mm^3の大きさまで切断した後、各種培養条件での組織培養を試みた。 【結果】 細胞遊走は、胸びれ組織切片を4g/LのNaClを添加した20%FBS含有L-15 (pH7.3)培地中にてエクスプラント法で培養する事によって確認された。組織から遊走した細胞は10〜15℃の温度条件のみで確認され、7〜11日間の培養後には剥離死滅した。残った組織切片をさらに4℃コラゲナーゼ-ディスパーゼで一晩酵素処理した後、同培地で培養を試みた結果、コンゴウアナゴの繊維芽様胸びれ細胞の培養および凍結保存に成功した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Koyama, S. et al.: "Tissue culture of the deep-sea eel Simenchelys parasiticus collected at 1162m."Extremophiles. 7. 245-248 (2003)
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[Publications] 小山 純弘: "深海生物の捕獲と飼育"バイオサイエンスとインダストリー. 61. 9-10 (2003)
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[Publications] 小山 純弘: "深海生物の大気圧飼育法の開発"バイオサイエンスとインダストリー. 61. 36-37 (2003)
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[Publications] 小山 純弘: "深海生物の地上での研究法開発"高圧力の科学と技術. 14. (2004)