2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14704012
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
吉田 健一 福山大学, 生命工学部, 講師 (20230732)
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Keywords | 枯草菌 / Bacillus subtilis / アスパラギン / 胞子形成 / アスパラギン合成 |
Research Abstract |
枯草菌等グラム陽性菌のアスパラギン合成は研究の例が無く、その機構と生理的意義の解明が待たれる。本研究課題は、枯草菌ゲノムに見出された3種のアスパラギン合成酵素様遺伝子asnB, asnH, asnOの発現調節とその生理的意義の解明を目指す。本年度はasnHの発現調節とasnOの機能の解析に重点を置いた。 asnHはyxbB-yxbA-yxnB-asnH-yxaMというオペロンに含まれ、遷移時期に爆発的な発現を示す。本年度の研究によってプロモーターが同定され、さらにこの転写はCodY(細胞内の栄養状態を感知する転写因子)とAbrB(胞子形成の開始を制御する転写因子)によって抑制されており、その抑制が遷移時期に解除されることがわかった。しかし、asnHの欠失は胞子形成に影響しないので、今後は胞子形成以外の定常期特異的な細胞機能との関連の解明を目指す。 asnOはSigE依存的に胞子形成期の母細胞側で発現し、耐熱性胞子の生産に不可欠である。asnOの代わりに枯草菌のasnB(対数増殖期のアスパラギン合成酵素)または大腸菌のasnB(酵素学的に最も詳しく研究されたアスパラギン合成酵素)を発現させたところ、耐熱性胞子の生産は極僅かしか回復しなかった。しかし、CE-MS分析によって測定した細胞内のアスパラギン濃度は明らかに増加していた。すなわち、耐熱性胞子生産に必要なasnOの機能はアスパラギン合成そのものではないことが強く示唆された。一方、AsnO-GFP融合タンパクの胞子形成期細胞内での局在を調べたところ、融合タンパクは母細胞で作られた後、胞子側へ移動局在することが観察された。恐らく、AsnOは胞子表面構造の構築に必要なアスパラギン以外の何らかの物質供給に必要とされていると考えられる。
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