2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14704028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高柳 広 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20334229)
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Keywords | 骨代謝 / 破骨細胞 / 破骨細胞分化因子 / インターフェロン / NFATc1 / 骨粗鬆症 / 転写因子 / DNAチップ |
Research Abstract |
TNFファミリーのサイトカインであるRANKL(破骨細胞分化因子)は、破骨細胞分化誘導において必須の因子であるが、その細胞内シグナル伝達機構は不明の点が多く、骨破壊性疾患の原因となる破骨細胞を特異的に抑制する有効な治療法は知られていない。昨年度、私はRANKL標的遺伝子のDNAチップによる解析に基づき、NFATc1はRANKLシグナルの下流で破骨細胞分化を制御するマスターレギュレータと呼べる転写因子であることを同定した。そこで、本年度は、NFATc1の関節リウマチの病態への関与について検討を行った。関節リウマチの病理組織学的を行うと、骨破壊部に見られる破骨細胞においてNFATc1は非常に高く発現しており、治療標的として有望であることが示唆された。そこで、既存の抗リウマチ薬の破骨細胞分化系への作用を指標にしてスクリーニングを行い、骨破壊抑制効果をもつ抗リウマチ薬レフルノミドがNFATc1を標的として破骨細胞分化を抑制すること、またこの抑制作用が生体レベルにおける骨破壊抑制作用にも重要であることを明らかにした。本結果は、NFATc1のを標的とした治療が臨床的にも応用可能であることを示唆する。 一方、骨破壊を効率良く制御するには、骨吸収抑制だけではなく、骨形成を促進することも重要な側面である。昨年度の研究から、IFN-βが破骨細胞分化の負の制御分子であったことから、IFN-β下流で活性化される転写因子複合体の構成分子であるStat1およびIRF-9の骨代謝における意義を遺伝子欠損マウスを用いて解析した。そして、転写因子Stat1が骨芽細胞分化を制御する転写因子Runx2の抑制因子であることを見いだした。Stat1による抑制を解除することで、人為的に骨形成を促進する方法が開発できる可能性が示された。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] Koga T., Inui M., Inoue K., Kim S., Suematsu A., Kobayashi E., 他7名: "ITAM-mediated costimulatory signals cooperate with RANKL for bone homeostasis."Nature. (in press). (2004)
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[Publications] Urushibara, M., Takayanagi H., Koga T., Kim S., Isobe M., 他4名: "Antirheumatic drug, leflunomide, inhibits osteoclastogenesis by interfering with RANKL-stimulated induction of NFATc1."Arthritis Rheum. (in press). (2004)
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[Publications] Kim, S., Koga T., Isobe M., Kern B.E., Yokochi T., Chen Y.E., 他3名: "Stat1 functions as a cytoplasmic attenuator of Runx2 in the transcriptional program of osteoblast differentiation."Genes Dev. 17・16. 1979-1991 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "免疫系シグナルによる破骨細胞分化制御"生化学. 75・12. 1535-1540 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "Osteoimmunology"内科. 93(2). 223-228 (2004)
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[Publications] 高柳 広: "インターフェロンとRANKLシグナル制御"Molecular Medicine. 40(11). 1332-1340 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "免疫と骨代謝のクロストーク"リウマチ. 43・4. 624-631 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "RANKLの骨吸収作用を制御するIFN-βとIFN-γの役割"THE BONE. 17(5). 51-59, 475-48 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "サイトカインシグナルのクロストーク:RANKLの制御系をモデルとして"炎症と免疫. 11・4. 106-116 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "関節リウマチにおける骨破壊機序"クリニカルカルシウム. 13・6. 16-23 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "オステオイムノロジー"Molecular Medicine. 40(6). 690-695 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "関節炎とインターフェロン"リウマチ科. 29・1. 50-57 (2003)
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[Publications] 高柳 広, 金宣和, 谷口維紹: "サイトカインと骨代謝"実験医学2003年増刊号「シグナル伝達研究2003」. 21・2. 91-96, 209-214 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "骨と免疫のクロストーク"現代医療. 36・3. 697-704 (2004)
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[Publications] 高柳 広: "Annual Review 2004 免疫「RANKLによる破骨細胞分化制御」"中外医学社. 143-153 (2003)
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[Publications] 高柳 広, 織田弘美: "整形外科クルズス(津山直一他編著、改訂第4版)第一章CIII滑膜、第一章G筋"南江堂. 42-43,63-65 (2003)
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[Publications] 高柳 広: "先端医療シリーズ19・アレルギー・リウマチ・膠原病「アレルギー・リウマチ・膠原病の最新医療」破骨細胞活性化の分子機構"先端医療技術研究所. 235-241 (2003)