2002 Fiscal Year Annual Research Report
移植腎臓の長期生着を目指した遺伝子導入法の応用による新たな治療戦略の確立
Project/Area Number |
14704035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 奈留也 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (70314432)
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Keywords | 遺伝子治療 / デコイ / 腎移植 / NFκB / HGF / 腎不全 |
Research Abstract |
本年度は以下に列挙する成果が得られた。 申請者らは以前より腎臓への遺伝子導入に取り組み、世界で初めてHVJ-リポソーム法を用いることで腎糸球体細胞に特異的な遺伝子導入の可能性を報告してきた(BBRC 1993)。その後遺伝子導入方法の改良に伴い、核酸医薬の導入効率も上昇し、腎炎モデル動物に対してE2FデコイやNF□BデコイをHVJ-リポソーム法を用いて導入することにより動物レベルでは治療効果がはっきりと確認できた(J Am Soc Nephrol 1995,1996 Gene Ther 2000)。このように腎疾患に対する新しい治療法として遺伝子治療が注目され、本研究では循環器領域で遺伝子治療の経験を生かして腎疾患に対する遺伝子治療法の確立を目指し、最終的にはヒトへの臨床応用を目指している。 (1)遺伝子導入方法の改良 HVJ-リポソーム法が腎臓糸球体への遺伝子導入法として優れていることを報告したが、現在のところ不活化されたウイルスそのものを用いている。本研究において細胞融合に必要な膜蛋白であるF蛋白とHN蛋白を精製し、両蛋白を組み込んだ再構成型リポソームの開発を行ったが効率の点においては従来の方法と有意な差は認められたが、ウイルスが大量に必要となりその点においては有用な方法とは考えられず断念した。 (2)組織(細胞)特異的な遺伝子導入方法の開発 抗体を利用した組織(細胞)特異性を有する組織ターゲッティング型リポソームの開発を行った。特にメザンギウム細胞の表面抗原に対する抗体と結合させ腎臓(特に糸球体)特異的に遺伝子導入可能な第二世代のイムノリポソームの開発を行い腎臓特異的遺伝子導入方法を開発した。(J. Gene Med 2002) (3)デコイ法のin vivoでの効果の検討 E2FデコイやNFκBデコイの有用性は既に冠血管拡張術後再狭窄や心筋梗塞において申請者らはすでに報告している。それぞれ証明されている。現行のHVJ-リポソーム法でも核酸の腎糸球体への導入効率はかなり高く、糸球体腎炎のモデルラット(抗Thy 1腎炎モデル;E2Fデコイ、抗基底膜抗体腎炎モデル;NFκBデコイ)を用いてその有用性を検討した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tomita N: "Potential therapeutic applications of decoy oligonucleotides"Curr Opin Mol Ther. 4(2). 166-170 (2002)
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[Publications] Tomita N: "Targeted gene therapy for rat glomerulonephritis using HVJ-immunoliposomes"J Gene Med. 4. 527-535 (2002)
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[Publications] Tomita N: "Therapeutic approach to familial hypercholesterolemia by HVJ-liposomes in LDL receptor knockout mouse"Int J Mol Med. 10. 137-143 (2002)
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[Publications] Matsumoto K: "Impaired endothelial dysfunction in diabetes mellitus rats was restored by oral administration of Prostaglandin I_2 analogue"J Endoclinol. 175. 217-223 (2002)
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[Publications] Nakanishi K: "Gene Transfer of human hepatocyte growth factor into rat skin wounds mediated by liposomes coated with the sendai virus (Hemagglutinating Virus of Japan)"Am J Pathol. 161. 1761-1772 (2002)
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[Publications] Tomita N: "NE-κB as a therapeutic targer for transcription factor decoy strategy in inflammatory diseases"Curr Med Chem. 2. 1-6 (2002)