2002 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞の機能解析及び同細胞の操作による炎症性腸疾患の新しい治療法の開発
Project/Area Number |
14704036
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清野 研一郎 理化学研究所, 免疫制御研究チーム, 研究員 (20312845)
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Keywords | NKT細胞 / CD25陽性T細胞 / IBD / 制御性T細胞 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
NKT細胞は、T、B、NK細胞に続く第4のリンパ球とも呼ばれ、最近になってその存在が明らかになった新しい免疫担当細胞である。最近、我々を含めた数グループはNKT細胞が免疫制御細胞(regulatory T細胞)として重要な役割を果たしていることを明らかにした。免疫制御細胞としてはこの他にCD4^+CD25^+T細胞がよく知られている。制御性T細胞の研究は様々な免疫疾患の新しい治療法の開発につながることが期待される。その対象疾患として本研究では炎症性腸疾患(IBD)に着目している。IBDは臨床でしばしば遭遇する、異常免疫反応が関わる難治性疾患である。実際の治療にはステロイドなど免疫抑制剤が使われる他、最近欧米では抗TNF抗体が成果をあげている。しかし現実には内科的・外科的にもコントロール不良な症例が少なからず存在し、次世代の治療法の開発が期待されている。動物実験レベルでは、CD25陰性T細胞の移入によってIBDが発症しCD4^+CD25^+T細胞の同時投与によって完全に抑制できることが知られている。同様に、NKT細胞の活性化によってIBDの制御が可能であるかどうかは興味深い。これらの実験を進め、基礎免疫学的検討に加え、NKT細胞もしくはCD25陽性T細胞の操作による新しいIBDの治療法開発が可能であるかどうか検討するべく、基礎的実験を行った。NKT細胞の特異的リガンドであるαGalCerをマウスに投与すると、抗原提示細胞である樹状細胞(DC)の、phenotypeに変化が起こった。具体的にはヒトplasmacytoid DCのマウスホモログであるB220陽性のDCの数が増え、アロMLRなどにおける抗原提示能が低下することが分かった。NKT細胞による免疫制御のメカニズムの一端を示すものと考えられた。
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