2003 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤形成制御機構に関与する胎児胎盤由来物質の探策とその生理作用の解析
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14704042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
由良 茂夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335289)
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Keywords | 妊娠 / 胎盟 / 胎児 / 発育遅延 / レプチン / レジスチン / アディポネクチン |
Research Abstract |
胎盤機能不全による子宮内胎児発育遅延(IUGR)の胎児予後を改善する目的で、昨年度は胎盤形成過程を検討するための移植実験系(項目2)や胎児発育遅延のマウスモデル(項目3)を作成した。その成果を踏まえ、本年度はさらに下記の検討を行った。 1.ヒト臍帯血中の各種生理活性因子の測定 子宮内胎児発育遅延では、脂肪組織におけるエネルギー蓄積が低下している。レプチン、レジスチン、アディポネクチンなど脂肪組織由来の生理活性因子の内、前二者は胎盤においても産生されていることをすでに報告した。レプチン、アディポネクチンの臍帯血中濃度は出生時体重とよく相関したが、レジスチンは有意の相関を認め存かった。これらの因子が胎盤形成、胎児発育に及ぼす影響をさらに検討する予定である。 2.胎盤形成障害を呈するHGF(hepatocyte growth factor)欠損マウスに対する胎盤および骨髄由来細胞の移植実験系の検討 遺伝子操作によりHGFを欠損したマウスでは胎盤形成障害のために胎仔発育が障害される。このマウスに、すでに作成した蛍光色素(GFP)標識マウスの胎盤由来細胞、骨髄由来細胞を投与することにより、胎盤形成および胎仔発育に及ぼす影響を検討中である。 3.妊娠マウスの摂食制限による胎仔発育遅延モデルの解析 妊娠マウス母獣の摂食制限によりすでに作成したマウス胎仔発育遅延(IUGR)モデルにおいて、胎仔肝臓、胎盤のIGF-1、胎仔脂肪組織のレプテン、レジスチン、アディポネクチン遺伝子発現をそれぞれ検討したところいずれも正常発育マウスと比較して有意に低値であった。今後これらの因子の変化が胎盤形成、胎児発育に及ぼす影響を検討する。 また近年、低出生体重児が成長後に高率に生活習慣病を発症することが注目されている。低出生体重児の長期的予後を改善するために、生活習慣病発症機序についても検討を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mercy A.Nuamah, 他7名: "Free-to-total Leptin Ratio in Maternal Plasma Is Constant throughout Human Pregnancy."Endocrine Journal. 50. 421-428 (2003)
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[Publications] Kazuyo Kakui, 他7名: "Expression of Nitric Oxide Synthase Isoforms in the Human Placenta Is Not Altered by Labor."Endocrine Journal. 50. 535-544 (2003)
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[Publications] Norimasa Sagawa, 他9名: "Possible Role of Placental Leptin in Pregnancy-A Review."Endocrine. 19. 56-71 (2003)
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[Publications] Daizo Korita, 他8名: "Cyclic Mechanical Stretch and lnterleukin-1 α Synergistically Up-Regulate Prostacyclin Secretion in Cultured Human Uterine Myometrial Cells"Gynecological Endocrinology. (In press). (2004)
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[Publications] Kazuyo Kakui, 他8名: "Augmented eNOS Protein Expression in Human Pregnant Myometrium : Possdible Involvement of eNOS Promoter Activation by Estrogen via both ERα and ERβ"Molecular Human Reproduction. 10. 115-122 (2004)
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[Publications] Mercy A.Nuamah, 他10名: "Significant Increase in Maternal Plasma Leptin Concentration in Induced Delivery : A Possible Contribution, of Pro-inflammatory Cytokines to Placental Leptin Secretion"Endocrine Journal. (In press). (2004)