2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14704044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 裕子 東北大学, 病院, 講師 (70302130)
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Keywords | 網膜色素変性 / 遺伝的異質性 / マイクロアレイ / スクリーニング / データーベース化 / 高頻度変異 |
Research Abstract |
網膜色素変性に代表される遺伝性網膜変性疾患は、遺伝的異質性に富む疾患である。原因遺伝子は他種類に及び現在まで報告されている原因遺伝子をスクリーニングしてもその一部が解明されているにすぎない。そこで本研究では常染色体優性網膜色素変性に着目し、日本人常染色体優性網膜色素変性96家系に対してすべての原因遺伝子を用いてスクリーニングし日本人患者における遺伝子変異の種類と頻度を同定した。海外ではロドプシン遺伝子変異は常染色体優性網膜色素変性の25%に認められるが日本人では約4%で非常に低頻度である。RP1遺伝子変異も海外では約8%に認められるが日本人では1%で低頻度である。さらに海外でのmutational hot spotsであるロドプシン遺伝子Pro23His、Pro347Leu変異、RP1遺伝子のArg677X変異、IMPDH1遺伝子のAsp226Asn変異は日本人患者ではhot spotsにならないことを証明した。PRPF31,Peripherin/RDS遺伝子、HPRP3遺伝子、IMPDH1遺伝子はほぼ海外と同頻度である。一方、FSCN2遺伝子208deG変異は日本人患者のみに認められ、日本人固有の遺伝子異常であることを証明した。以上のことより、遺伝子変異には人種差が大きく関与し、日本人は固有の遺伝子異常をもつ可能性を示した。我々の遺伝子変異解析の結果と海外からの遺伝子変異の報告をデーターベース化し、日本人患者の主要な遺伝子変異を簡易的にかっ効率的に解析できるシステムを構築した。これにより、一日で解析すべき場所をスクリーニングすることを可能にした。 マイクロアレイを用いて、重症度の関与する遺伝子を検討した結果、無発症例1例、発症例4例で2倍以上発現量に差が生じた遺伝子は計15遺伝子、発症例で2倍以上発現が上昇していた遺伝子で9遺伝子、無発症例で2倍以上発現が上昇していた遺伝子は6遺伝子であった。 発現量の差が認められた遺伝子は転写因子、ミトコンドリアのエネルギー代謝、血管新生、酸素輸送、グルタミン酸代謝、アポトーシス、細胞の構造、分化に関与する遺伝子である。とくにグルタミン酸代謝、アポトーシス、細胞の構造、分化に関与する遺伝子の発現量のさが大きく、表現型の多様性には原因遺伝子異常のみならず、他の遺伝子の関与が関わっていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)