2002 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺由来腺癌に対する複合的遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
14704049
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
張 雁 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50332797)
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Keywords | Salivary Adenocarcinoma / Angiogenesis / Keratinocyte Growth Factor / Tie-2 / Differentiation / Apoptosis / Gene Therapy |
Research Abstract |
アポトーシスおよび血管新生は個体の発生、分化、維持において重要な役割を演じており、多くの疾患の発症に共通して関わっていることが明らかとなった。唾液腺癌細胞の増殖、浸潤、転移などがどのような機序で働き、制御されているかをアポトーシス・血管新生との関連で理解し、腺癌細胞特異的なアポトーシスの誘発および血管新生の抑制に的を絞った遺伝子治療法を切り開くことを本研究の目的とする。 本年度の研究結果:(1)唾液腺腫瘍の悪性化過程に、腫瘍細胞においてKeratinocyte Growth Factor Receptor (KGFR)遺伝子の発現が消失し、正常唾液腺上皮細胞では発現していないFGFR1-IIIc遺伝子が発現してくることを明らかにした。(2)野生型KGFR遺伝子を唾液腺癌細胞に導入し、in vitroおよびin vivoにおいて腺癌細胞の増殖抑制および分化・アポトーシスが誘導された。(3)Tie-2は血管内皮細胞において特異的に発現するチロシンキナーゼ型受容体であり、血管新生に関与していると考えられている。一方、唾液腺の管腔形成は発生学的に血管形成機構と共通点が多く、Tie-2のシグナルは唾液腺においても重要な働きをしている可能性が考えられた。正常唾液腺および唾液腺癌におけるTie-2の発現を免疫組織化学染色,Northern hybridizationおよびin situ hybridizationにて検討した。その結果、正常唾液腺では血管内皮細胞、介在部導管細胞、筋上皮細胞および漿液細胞にTie-2の発現を認め、腺癌細胞においてもTie-2の発現を認めた。(4)腺癌細胞において、Tie-2のリガンドであるAngiopoietin-1刺激による、Tie-2チロシンキナーゼのリン酸化活性、MAPKおよびSTAT3リン酸化活性を認めた。(5)可溶化型Tie-2(Tie-2Fc)を作成し、野生型KGFR遺伝子を導入した唾液腺癌細胞にTie-2Fc遺伝子を導入した。導入した腺癌では血管密度は低下し、血管内皮細胞のアポトーシス像を認めた。 以上の結果から、唾液腺癌の治療法として、KGFR遺伝子およびTie-2Fc遺伝子を用いた癌の遺伝子治療は非常に有望と考えられた。
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