2003 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤ胚の内胚葉分化と中胚葉誘導における分子機構の解明
Project/Area Number |
14704070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 ゆたか 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40314174)
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Keywords | Ciona savignyi / Twist-like1 / Mesp / 心臓 / 間充織 |
Research Abstract |
ユウレイボヤ(Ciona savignyi)胚において母性β-cateninの下流で働くFGFであるFgf9/16/20は間充織を誘導する。しかし、この誘導を受けた後に予定間充織細胞がどのような過程を経て特殊化されるのかという問題については全く明らかとされていなかった。そこで、本研究においてはこの点について研究を進め、誘導を受けた後に予定間充織細胞においてbHLH型の転写因子をコードするTwist-like1遣伝子が発現し、この遺伝子が間充織細胞の分化に必要かつ十分な役割をもつことを明らかにした。間充織細胞は110細胞期胚のA7.6,B7.7、B8.5と呼ばれる3つの割球対から生じるが、Twist-like1はいずれの系譜の間充織細胞においても必須の役割を担っていた。一方で、これらのそれぞれの系譜ではTwist-like1を発現するまでに働く遺伝子群、また、Twist-like1の下流の遺伝子群がおのおの異なっていることも併せて明らかにした。 また、幼生の体幹腹側細胞(TVC)は成体の心臓の原基であるとされている細胞であるが、その分化機構はこれまで全くわかっていなかった。そこで、この細胞系譜で発現する遺伝子をスクリーニングし、発生運命の決定が起こる時期に特異的に発現するbHLH型転写因子をコードするMesp遺伝子を同定した。この遺伝子の機能を阻害するとTVCは分化しないことを明らかにし、Mesp遺伝子がこの細胞の分化に必須の役割をもつことを突き止めた。またDiIラベリングを用いた細胞系譜追跡によって、ユウレイボヤにおいてTVCが成体の心臓の原基であることを実際に証明し、Mesp遺伝子の機能阻害によって成体の心臓の分化も阻害されることも明らかにした。さらに、Mesp遺伝子の下流において脊椎動物で心臓形成に重要とされているHand遺伝子、Nkx遺伝子などが働くことも併せて明らかにした。Mesp遺伝子はマウスなど脊椎動物を用いた研究でも心臓を含む中胚葉形成の初期過程において働くことが知られており、本研究ではMesp遺伝子に始まる心臓形成の分子機構がホヤから哺乳類まで脊髄動物で広く保存されている可能性を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kaoru S.Imai, et al.: "A Twist-like bHLH gene is a downstream factor of an endogenous FGF and determines mesenchymal fate in the ascidian embryos"DEVELOPMENT. 130. 4461-4472 (2003)
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[Publications] Yutaka Satou, et al.: "A genomewide survey of developmentally relevant genes in Ciona intestinalis. I. Genes for bHLH transcription factors"Dev Genes Evol. 213. 213-221 (2003)
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[Publications] Shuichi Wada, et al.: "A genomewide survey of developmentally relevant genes in Ciona intestinalis. II. Genes for homeobox transcription factors"Dev Genes Evol. 213. 222-234 (2003)
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[Publications] Kasumi Yagi, et al.: "A genomewide survey of developmentally relevant genes in Ciona intestinalis. III. Genes for Fox, ETS, nuclear receptors and NFkB"Dev Genes Evol. 213. 235-244 (2003)
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[Publications] Lixy Yamada, et al.: "A genomewide survey of developmentally relevant genes in Ciona intestinalis. IV. Genes for HMG transcriptional regulators, bZip and GATA/Gli/Zic/Snail"Dev Genes Evol. 213. 245-253 (2003)
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[Publications] Yutaka Satou, et al.: "Large scale EST analyses in Ciona intestinalis Its application as Northern blot analyses"Dev Genes Evol. 213. 314-318 (2003)