2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓の領域特異的分化を制御する転写調節因子の同定と機能解析
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14704071
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横内 裕二 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (60252227)
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Keywords | 肝臓 / 原基 / 内胚葉 / 領域特異性 / 転写調節因子 / bHLH / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
本年度は昨年度おこなったdegenerate RT-PCRによって同定された遺伝子群のうち、Id関連遺伝子のひとつであるId3に着目しその機能解析を行った。IdはDrosophila emc(extramacrochaetae)の関連遺伝子であり、他のbHLH型転写活性化因子と結合することで細胞分化を抑制すること、または細胞周期調節因子と結合することで細胞増殖を促進することがこれまでに報告されている。 我々は本遺伝子の肝発生における機能を明らかにする目的で、肝発生過程におけるその詳細な発現パターンを解析した。Id3は肝原基が形成された直後である発生段階14において肝原基全体で発現していた。しかし、近位遠位軸にそった形態学的特徴が顕著になる発生段階20では、腸管に関して近位側の総胆管内胚葉におけるその発現は消失する一方で、遠位側の肝臓本体における発現は継続していた。すなわち、肝-胆管系において、Id3は遠位特異的に発現する。次にそのmRNA量の経時的な変化を3日-14日胚肝臓において計測したところ、3日目と6日目に発現のピークがあり、6日以降からは急速に減少することが明らかになった。この結果はId3が肝臓発生の異なった二つの発生段階において機能している可能性を示唆する。 次にId3の機能を明らかにするために、Id3に対するsiRNAを作成し、肝内胚葉に導入した際の効果を調べた。Id3特異的siRNAの導入により肝臓が縮小した。一方、器官培養系を用いてId3過剰発現の効果を検討したところ、肝臓内胚葉の増殖が促進された。以上の結果はId3が肝-胆管系における遠位側、すなわち肝臓内胚葉の領域特異的増殖の促進因子であることを強く示唆している。またsiRNAの導入によって特定の分化マーカーの発現が低下した。この結果はId3が肝発生初期の分化状態の維持に関与している可能性を示唆する。
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