2003 Fiscal Year Annual Research Report
後期インド唯識思想におけるインド知識論及び中観思想との関連〜『不二一元摘要論』研究〜
Project/Area Number |
14710009
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
久間 泰賢 三重大学, 人文学部, 助教授 (60324498)
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Keywords | 唯識 / 中観 / インド知識論 / ジュニャーナシュリーミトラ / プラジュニャーカラグプタ |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要は以下の通りである. (1)前年度に作成したテクスト校訂のための基礎資料に基づきつつ,テクスト校訂及び和訳註研究の作成を進めた.和訳註研究の作成に際して,特に今年度は,ジュニャーナシュリーミトラの他著,及び引用される他学派の著作との関係を同定することに勤めた.(2)必要な関連図書の整備を行った.(設備備品費)(3)従来誤入力の多かったジュニャーナシュリーミトラの著作データベースの校正作業を,関連分野専攻の学生に依頼し,研究環境の整備に努めた.(謝金)(4)国内外の学会・研究会に出席し,本研究に関連する主題について以下の研究発表を行うとともに,本研究の方向性などに関して他の研究者と意見交換を行った.(国内外旅費) Jnanasrimitra on the definition of existence,第12回国際サンスクリット学会(ヘルシンキ大学),2003.7.17 本発表では,本研究計画における当該テクストでも主要なテーマとなる,ジュニャーナシュリーミトラにおける存在性の概念について考察した.ジュニャーナシュリーミトラにおける存在性は,一方では効果的作用の概念という側面を,他方では知における形象の顕現という側面を有している,と見なすことができる.この点は本研究の遂行に際して根幹をなす論点であり,それを明確なかたちで提示しえたことは,今年度の最も大きな実績と見なすことかできる.
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