2003 Fiscal Year Annual Research Report
「他者」への応答という論点にそくした「自由」概念の再検討
Project/Area Number |
14710014
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
麻生 博之 東京経済大学, 経済学部, 講師 (50317905)
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Keywords | 自由 / 他社への応答 / 非同一的なもの / 自発性 / 自己決定 / 自己保存 / 責任 / 倫理学 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の思想史的研究を受けながら、当該研究課題に関連するいくつかの論点について基本的な研究を行なった。 1、まず、「自由」概念をめぐる思想史的な研究の継続として、とくにフランス思想圏におけるいくつかの思考のあり方を確認する作業を行なった。具体的には、ベルグソンによるいわば「自己創造」としての自発性の捉え方、「絶対的な自由」をめぐるサルトルの思考、メルロ=ポンティにおけるいわば「状況づけられた自由」としての自由の把握、また「他者」をめぐるレヴィナスの思考における自由についての批判的省察などについて、端緒的な研究を行なった。 2、いわゆる「両立論」と「非両立論」との論争にかかわる現代の(おもに英米系哲学における)議論について、その枠組みをおさえるための端緒的な研究を行なった。具体的には、両立論としては、H.Frankfurt、G.Watson、またP.F.Strawsonなど、(非決定論的な)非両立論としては、P.van Inwagen、R.Chisholm、R.Kaneなどの主張とそれらに関わる議論について、いくつかの基本的な論点を確認した。 3、本研究のおもな目的は、アドルノの思考を一つの端緒として自由概念に再検討を加え、非同一的な他者への応答のうちに自由を再構成する可能性を探る点にあるが、「非同一的なもの」をめぐるアドルノのとくに倫理的な思考の成り立ちを明らかにするために、基礎的な考察を行なった。その成果の一部は論文にまとめ、「自己保存」への囚われに伴われる暴力について批判的に反省する可能性を、「非同一的なもの」へと応じてゆくことに見出そうとするアドルノの思考について論じた。(平成16年度中に共著のなかで発表予定。)
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