本居宣長『古事記伝』と中世書紀学との連関について

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14710018
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 徳盛 誠 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 講師 (00272469)
• Keywords: 本居宣長 / 『古事記伝』 / 中世日本紀

Research Abstract

三年計画の初年度である本年度は、主として準備的な作業に費やされた。中世日本紀と包括される言説を中心とした中世の神話的言説の資料の収集と整理、それに基づいた中世書紀学の諸問題の整理を行った。
その中心的な研究以外に、関連して行った研究は三点に大別できる。第一に、中世書紀学の焦点の一つが文字をめぐる議論であることを踏まえ、古代以来の文字に関する論議の把握を試みた。第二に、宣長に至る近世の古典研究を把握する上で、契沖、賀茂真淵を軸とした万葉集研究史からのアプローチを試みた。この研究の一部は、論文ではないが、『必携・万葉集を読むための基礎百科』(学燈社2002年)の分担執筆に生かされた。また第三に、宣長が生きた十八世紀後半の思想状況を、比較文学的視点も取り入れつつ把握することを試みた。