2002 Fiscal Year Annual Research Report
1890年代にイギリスの芸術雑誌が形成した日本イメージの分析
Project/Area Number |
14710023
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
工藤 芳彰 拓殖大学, 工学部, 助手 (40286935)
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Keywords | デザイン史 / 雑誌 / 日本イメージ / The Studio |
Research Abstract |
1890年代のイギリス中流階級に形成された日本イメージを考察する一環として、同時代を代表するデザイン誌『ステユーディオ』を分析した。 同誌編集長チャールズ・ホームが、ジャパン・ソサイエティの日本研究をベースに、自ら日本の芸術に関する記事を執筆し、編集をおこなっていた。 日本に関する記事は、伝統的な芸術の解説を中心に、訪日したイギリス人画家の解説や美術界の現状解説などであった。それらの半数近くをホームが執筆していた。ホームら執筆者のほとんどは訪日経験と日本美術・工芸に関する幅広い専門知識を有していた。彼らが日本の伝統的な芸術に対して指摘し、評価した「用と美」や適度な装飾性などは、イギリスの応用美術が見習うべき手本とされた。すなわち、ホームの編集方針は、日本をイギリスの応用美術の指針とすることにあった。 このことは、イギリスの中流階級のなかでも、芸術やデザインに関心の高い人々が日本の芸術に関する知識や批評を共通して知り得たことを示唆しており、彼らの日本イメージを考察するに重要な点であると考える。
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