2002 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ時代のE.ヴァレーズにおける政治的前衛と芸術的前衛の結合
Project/Area Number |
14710024
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Research Institution | Tokyo College of Music |
Principal Investigator |
沼野 雄司 東京音楽大学, 音楽学部, 専任講師 (00322470)
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Keywords | ヴァレーズ / アメリカ / 社会主義 / 前衛運動 / ICG |
Research Abstract |
本年度は、3年にわたる研究の基礎作業として、以下の3点を中心にして研究活動を行なった。 まず、最も重点的に行なったのは、20世紀前半のアメリカにおける社会主義思想についての調査・整理である。とりわけサンジカリズムを一つの起点とした労働運動のうねり、IWWを中心にした各団体の動向、アメリカ共産党の結成、そして第二次大戦後のマッカーシズムにいたる、社会主義思想をめぐる一連の流れについてはできる限りのデータを収集し、整理を行なった。また、近年歴史学の分野でも注目をあびているニューヨークの知識人研究を参照した。 第二に、E.ヴァレーズに関するデータの整理を行なった。主にアメリカで発表された近年の諸研究を参照しつつ、彼の1920〜40年代の足取りについて、とりわけ作曲以外の様々な社会的活動について調査を行なった。また、彼の高弟であるチョウ・ウェン・チュンの校訂によるリコルディ新版(新しい作品資料の発掘を多く含んでいる)について検討した。また、ヴァレーズが設立したICG(国際作曲家連盟)をめぐる一連の人間関係についても、同時代の演奏家たちと交わした書簡類などの一次資料を含む調査を行なうことができた。 第三に、同時代のアメリカにおける芸術家たちの動向を調査し、整理を行なった。ただしこれは膨大な範囲にわたるため、現段階では十分な成果をあげるに至っていない。しかし、とりわけ当時のアレンズバーグのサロンにおける重要性について認識するに至り、次年度以降の研究の示唆を得ることができた。 以上の調査を踏まえた上で、次年度は主に一次資料の発掘を試みる予定である。
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