2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬山 淳一郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (90302653)
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Keywords | 他者の視線 / 既知相貌 / 未知相貌 |
Research Abstract |
既知相貌と未知相貌に対する知覚・認知パフォーマンスの違いを検討するため、以下のような実験を行った。まず、刺激画像として、コンピュータグラフィックスソフトウェア(Poser 4)を用い、10人の人物の顔画像(いずれも女性)を作成した。それぞれの人物に対して、正面を向いている顔画像と、右5度方向を向いているものの2種類が生成された。従って、合計で20枚の画像が用意されたことになる。被験者は、これらのうち5人分の顔画像(10枚)に対して、熟知化手続きを行った。各顔画像には、任意に決定したある職業(警察官、教師、など)が対応づけてあり、被験者は、顔画像と職業との対連合学習を行った。この結果、学習に用いた5人分の顔画像は、被験者にとって既知となったが、のこりの5人分の顔画像は未知のままとなった。対連合学習が成立した後で、10人分の顔画像全て(20枚)を用いて、視線方向判断課題を行った。この視線方向判断課題では、各顔画像がランダムな順序で一枚ずつ提示され、被験者は、提示された顔画像が真正面を向いているか、それとも右方向を向いているかを、できるだけすばやく判断し、対応するキーを押した。このときの反応の正誤と反応時間が記録された。被験者が正しく反応できたときの反応時間をみると、未知相貌に対する反応時間が、既知相貌よりも短くなる傾向がみられた。すなわち、「知人の顔の方がわかりづらい」という結果となった。ただし、現状では実験手法に関していくつかの問題点も存在するため、上記の結果が安定して追試可能であるか否か、明らかではない。
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