2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬山 淳一郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (90302653)
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Keywords | 未知相貌 / 既知相貌 / 視線方向残効 / 視線方向判断 |
Research Abstract |
本研究の目的は、既知相貌(熟知度の高い知人の顔)と未知相貌(見知らぬ他者の顔)の間で、知覚的あるいは認知的判断の成績がどのように異なるかを検討することにある。特に、刺激画像の微細な変化に対する我々の感受性(あるいは、顔判断とは直接関係の無い情報からの影響)の、既知相貌と未知相貌の間での違いに関心がある。昨年度実施した実験では、コンピュータグラフィックスの技術を用いて、複数の女性の顔画像を生成し、被験者に提示した。しかし、その際に明らかになったいくつかの難点(多様な個人差をコンピュータグラフィックスで作り出すのは必ずしも容易ではないこと、人工的に作られた個人差に対し、被験者が強い違和感を感じる場合があること、等)を改善するため、本年度は、現実の人物の顔写真を刺激として用いることを試みた。このような実験状況では、被験者が刺激に違和感を感じることは、当然のことではあるが、発生しなかった。また、本研究を遂行する上で利用可能な実験課題として、2種類の課題の有効性を並行して検討した。それらはいずれも、顔刺激の示す視線方向を判断するというものであり、それぞれ異なる現象の生起を検出できる。一つは、胴体を含めた人物の全体像を提示して視線判断を行うという課題であり、その際、課題とは直接関係の無い頭部方向や胴体方向が視線方向判断に影響を与えるという現象が生じることがわかった。もう一つの課題とは、著者が視線方向残効と名付けた現象を検出できる。これは、右(または左)を見ている人物の顔を持続的に観察すると、その直後には、実際には自分を直視している人物の視線が、左(または右)にずれて感じられるという、一種の負の残効現象である。これら二つの現象が、未知相貌と既知相貌との間でどのように異なるかについては、今年度の実験結果からはまだあきらかにはなっていない。
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Research Products
(1 results)