2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710062
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
大坪 庸介 奈良大学, 社会学部, 講師 (80322775)
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Keywords | 心の理論 / 実験ゲーム / 情報共有 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、集団場面における情報共有と「心の理論」の関係を探ることにある。また、そのために「心の理論」を必要とする状況を設定し、「心の理論」能力の測定を行うことも当初の目的に含まれていた。「心の理論」はそもそも幼児の発達の問題として研究されるようになったため、その能力測定も幼児向けのものがほとんどである。今年度は、まず、子どもの「心の理論」測定に関する実験の追試を行い、次に大人のための「心の理論」測定を試みた。具体的には、幼稚園で3才児から5才児を対象として、誤信念課題と呼ばれる課題を実施した。その結果、日本人では5才過ぎから誤信念課題に対する正答率が上がるという過去の研究結果を再現することに成功した(この結果は、2004年Human Behavior and Evolution Society年次大会で発表予定)。 また、成人の「心の理論」測定のためにゲーム理論での議論を援用し、心の理論を測定するゲーム状況を設定することを試みた。このため、まず実験ゲームの専門家であるAmnon Rapoport教授(米・アリゾナ大学)と共同で、過去のゲーム実験の中で「心の理論」に関わるものをレビューした(この結果は現在投稿中である)。そこでのレビューに基づき、コミュニケーションゲームを模した実験状況を作り、いくつかの関連するゲームの成績を測定する予備的実験を行なった。この結果は、コミュニケーションでメッセージの送り手と受け手で異なう推論に依存している可能性を示唆しるとともに、受け手としての成績はそれ以外のゲームでの成績と相関しているが、送り手としての成績は他のゲームでの成績と相関しないことを示していた(この結果は、2004年3月に行われる東京大学COE国際シンポジウム「社会脳の探求」においてポスター発表予定である)。
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