2004 Fiscal Year Annual Research Report
集団の構造化過程における人間関係メンタル・マップに関する研究
Project/Area Number |
14710077
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
石田 靖彦 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (10314064)
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Keywords | 中学校新入生 / 仲間集団の形成過程 / 仲間集団からの影響過程 / 孤立不安 / 学習意欲 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
本研究では,中学校新入生を対象にして,学級内の友人関係の測定や学校への適応感や学習意欲などを複数回にわたって測定し,1.学級内の仲間集団の形成過程と,2.仲間集団からの影響過程について縦断的に検討した。 1.学級内の仲間集団の形成過程については,ひとりでいることへの不安である「孤立不安」に着目し,孤立不安の高い生徒と低い生徒の仲間集団の形成過程を,質問紙調査と面接調査によって検討した。その結果,孤立不安の高い生徒は,入学当初の段階では友人からの受容が高く,良好な友人関係を形成しているのに対し,入学してからの時間経過にしたがって友人からの受容は低下し,夏季休業前には孤立不安の低い生徒に逆転されることが示された。このことから,孤立不安の高さは,初期の関係形成には促進的に作用するが,関係を維持し親密化するには妨害的に作用することが示唆された。 2.仲間集団からの影響過程については,主に勉学に対する意欲や関心に着目し,仲間集団の意欲や関心が,その集団に所属する生徒の意欲や関心の推移に及ぼす影響について検討した。その結果,仲間集団の影響過程は男女で異なっており,女子では仲間集団からの影響は乏しいが,男子では集団に対する親密感の程度によって,集団からの影響の程度が異なることが示された。すなわち,親密感が低い場合は集団からの影響は小さいが,親密感が高い場合はその集団からの影響を大きく受け,意欲や関心の高い集団に所属していた生徒は意欲や関心が維持されるのに対し,低い集団に所属していた生徒は意欲や関心が大きく低下することが示された。
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Research Products
(3 results)